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医学生 ガザへ行くのsnatchのレビュー・感想・評価

医学生 ガザへ行く(2022年製作の映画)
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2021年のガザ地区のドキュメンタリー
イタリアのシエナ大学で救急外科医を目指すリッカルド君が、パレスチナ大学に欧州からの初の留学生としてガザに行く。お隣のガザと思うくらいパレスチナ人の笑顔や明るさに親しみを感じます
以下、内容に触れています




そこはイタリアの医学部とは違い、実際に患者と接する実践授業もある
リッカルドは、慣れない生活と実際のイスラエルからのミサイル砲弾を目撃し、不安とストレスも募り一時テルアビブに避難するが、再びガザに戻る
イスラム教の男たちは少年のようにつるんで冗談を言い合い戯れ一緒にダンスする。多くの学生や教授、ホームステイ先の家族たちの手厚いもてなしや友情。リッカルドはガザに自分の居場所を見つけ始める

リッカルドと親しくなった医大生サアディに女子学生とも話したいと相談した時に、サアディは「僕は同行できない」と断る。リッカルドが下心じゃなくてみたいな話しをすると、サアディが、僕たちの違いについて色々言わなくてもいい、違うのだからというような言葉があった
その通りだと思う。自分とは違う相手のことを知り、遮断するのではなく尊重する

リッカルドは、毎週金曜日の礼拝の後にイスラエルとの境界で、権利と自由を掲げてデモをして負傷するパレスチナ人たちが運び込まれる病院で手伝う選択もする
リッカルドは、のちの卒論のテーマとなる体内で留まり破裂し骨や血管を粉砕する爆発銃弾を受けた患者も診る。運ばれてくるのは若者や少年たちだ
彼らはガザから出られないのなら、信念を貫き死傷するのを承知でデモに参加しているのだろう。病院の医師も看護師も、TVでデモの同時中継を観ながら彼らの受け入れ準備をしている。これが日常
こうやって何十年も続いてきたかと思うと、脳には悲という文字が浮かんでいた

後半にホームステイ先の近くで建物がミサイル砲弾で木っ端微塵に、続けて地下に避難していたリッカルドたちの建物も激しく揺れカメラマンも転倒する
戦闘機やミサイルの音がすぐそこ
本当に命はいつ無くなってもおかしくはない

夜が明けた
彼らは互いが無事だったと笑い踊る

留学期間を終えたリッカルドはイタリアへ帰国し医師となった。
ガザの友人たちは無事だとの字幕があったが、今は病院も次々に破壊されたと思うと、この地を無人の底無しの穴にするまで攻撃するのかと気が遠くなってきた
武器を送らないで欲しいという現在のリッカルドのメッセージ映像も見つけた。映画とあわせて観て欲しいです
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