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医学生 ガザへ行く

医学生 ガザへ行くの作品紹介

医学生 ガザへ行くのあらすじ

イタリア人医学生のリッカルドは、奨学金を得て留学することを決意した。行き先は紛争地域であるガザ地区。友人たちは彼の安全を心配し、動揺を隠せない。しかし将来は救急外科医になりたいと考え、爆発性弾丸による外傷についての論文を書いている彼にとってのガザ行きは、医師となるための実践経験になる。周囲をフェンスで封鎖された「天井のない監獄」と呼ばれるガザに入るのは容易ではない。イスラエル、パレスチナ自治政府、そしてハマスの3つの異なる当局からの許可を得なければならないからだ。極めて複雑なプロセスを経て、欧州から初の留学生としてガザ・イスラム大学に到着すると、学長に歓迎され、ガザ内外のメディアから次々とインタビューを受けることになる。 多くの期待と注目集める彼はプレッシャーを感じ始める。救急医療の現場に入り、本当に外科医に向いているのかと自らに問うなど、不安やストレスに潰されそうになる。悩むリッカルドを救ったのは、同じく医師を目指す医大生サアディなどのパレスチナ人の若者たちだった。やがて片言のアラビア語を話す彼は現地で人気者となり、徐々に自分の居場所を見つけていく。しかし、イスラエルとの紛争が再燃すると、リッカルドは難しい選択を迫られる。安全のためガザを一時的に離れた彼は、ガザを出られない友人達に心配を募らせる。しばらくしてガザに戻り、無事だった仲間との再会を喜び、絆を深めていく。そしてすぐに、緊迫する救急医療の現場へと飛び込み、傷ついた人々の治療に当たっていく。至近距離で爆撃を受ける体験をしながらも、彼は救急外科医にな る決意を固めていく。

医学生 ガザへ行くの監督

チアラ・アヴェサニ

マッテオ・デルボ

原題
Erasmus in Gaza
製作年
2022年
製作国
スペイン
上映時間
88分
ジャンル
ドキュメンタリー
配給会社
ユナイテッドピープル

『医学生 ガザへ行く』に投稿された感想・評価

5.0
【長い長い戦争】

ドキュメンタリー映画「医学生 ガザへ行く」の本編とは別に、この作品の主人公でガザに爆発性弾丸による外傷の研究で留学していたリッカルドのインタビュー映像が流れ、現在のガザの状況も踏まえた考えも話す。

“シネマ・チュプキ・タバタ”だからこその上映だったのかもしれないが、全国各地、もう少し多くの映画館で上映出来れば良いのにと思う。

イスラエルによる、おそらく武装組織の拠点への不定期な攻撃を除けば、このリッカルドの留学時のガザの人々の暮らしは普通のようでもある。

パレスチナ人の人柄も、イスラム教の戒律の違いこそあれ、人間は皆同じなのだと思わされる。

だが、ミサイル攻撃は行われ、デモがあればイスラエル兵が容赦なく発砲してくる。

5月20日国際刑事裁判所がネタニヤフ・イスラエル首相を含め5人のイスラエル政府要人に逮捕状を発行

5月22日アイルランド、スペイン、ノルウェーがパレスチナを国家として承認(※リッカルドはイタリア人留学生だが、映画はスペイン映画だ)

5月24日国際司法裁判所がイスラエルにガザ 地区への即時停戦命令を発布…など、

国際社会のイスラエルに対する見方が急激に厳しくなっているが、停戦の見通しは未だたっていない。

映画「エンテベ空港の7日間」でも触れられるが、この作戦でネタニヤフは兄を失っている。
そのため、ネタニヤフを合理性だけで理解しようととしても無理だと言う人がいるが、それをこんな虐殺の理由にして良いのだろうか。

この戦闘の発端は確かにハマスによる数千発にも及ぶイスラエルに対するミサイル・ロケット攻撃だが、その後のイスラエルの攻撃によるガザ地区パレスチナ人の死者が2万を超え、その半分が子供や女性だということはジェノサイドと呼ばれてもやむを得ないと強く思う。

ナチスによるユダヤ人虐殺などユダヤ人に心を寄せる人は多かったと思うが、おそらく世界中の人々の彼らに対する見方は変化してしまったように思える。

リッカルドは終映後のインタビュー映像で、各国はイスラエルに武器を送らないで欲しいと訴えていたが、アメリカ政府がやっと5月7日に、民間人の犠牲が続いていることや、大学生を中心にパレスチナ民間人の犠牲が甚大だとしてデモを繰り返していることを背景に、武器供与の一時停止を明らかにしたが、ネタニヤフは依然として強硬であり、逮捕状の請求や国際司法裁判所の即時停戦命令で更に苛立っているように見える。

僕たちは、こうした大規模な惨劇があって初めて、こうした事態に注意を払うようになるが、リッカルドが話すように、こんな事態は、オスロ合意の後でも、これより小規模でもずっと長い間続いていていたのだ。

もっと多くの人が思考停止を止め「関心領域」を広げ、ハマスを支援するイランや、この地域の歴史、ナチス以外のユダヤ人の迫害の事実も含めて熟慮する必要があるような気がする。

リッカルドの友人が無事であることは幸いだが、それぞれ皆家族や友人があって、安否の確認は難しいだろうことも胸が苦しくなる。
snatch
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2021年のガザ地区のドキュメンタリー
イタリアのシエナ大学で救急外科医を目指すリッカルド君が、パレスチナ大学に欧州からの初の留学生としてガザに行く。お隣のガザと思うくらいパレスチナ人の笑顔や明るさに親しみを感じます
以下、内容に触れています




そこはイタリアの医学部とは違い、実際に患者と接する実践授業もある
リッカルドは、慣れない生活と実際のイスラエルからのミサイル砲弾を目撃し、不安とストレスも募り一時テルアビブに避難するが、再びガザに戻る
イスラム教の男たちは少年のようにつるんで冗談を言い合い戯れ一緒にダンスする。多くの学生や教授、ホームステイ先の家族たちの手厚いもてなしや友情。リッカルドはガザに自分の居場所を見つけ始める

リッカルドと親しくなった医大生サアディに女子学生とも話したいと相談した時に、サアディは「僕は同行できない」と断る。リッカルドが下心じゃなくてみたいな話しをすると、サアディが、僕たちの違いについて色々言わなくてもいい、違うのだからというような言葉があった
その通りだと思う。自分とは違う相手のことを知り、遮断するのではなく尊重する

リッカルドは、毎週金曜日の礼拝の後にイスラエルとの境界で、権利と自由を掲げてデモをして負傷するパレスチナ人たちが運び込まれる病院で手伝う選択もする
リッカルドは、のちの卒論のテーマとなる体内で留まり破裂し骨や血管を粉砕する爆発銃弾を受けた患者も診る。運ばれてくるのは若者や少年たちだ
彼らはガザから出られないのなら、信念を貫き死傷するのを承知でデモに参加しているのだろう。病院の医師も看護師も、TVでデモの同時中継を観ながら彼らの受け入れ準備をしている。これが日常
こうやって何十年も続いてきたかと思うと、脳には悲という文字が浮かんでいた

後半にホームステイ先の近くで建物がミサイル砲弾で木っ端微塵に、続けて地下に避難していたリッカルドたちの建物も激しく揺れカメラマンも転倒する
戦闘機やミサイルの音がすぐそこ
本当に命はいつ無くなってもおかしくはない

夜が明けた
彼らは互いが無事だったと笑い踊る

留学期間を終えたリッカルドはイタリアへ帰国し医師となった。
ガザの友人たちは無事だとの字幕があったが、今は病院も次々に破壊されたと思うと、この地を無人の底無しの穴にするまで攻撃するのかと気が遠くなってきた
武器を送らないで欲しいという現在のリッカルドのメッセージ映像も見つけた。映画とあわせて観て欲しいです
いの
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イタリアの医学生リッカルドがガザへ。自ら留学を希望。ガザに研修医として赴くヨーロッパ人は初めてとのこと。その様子を映すドキュメンタリー。2018年、数か月間のこと


彼を迎えるガザの人たちが皆とても親切で、しかも本当にとてもうれしそう。そうか、ガザ行きを自ら希望して来てくれる青年がいるってことが、きっとものすごくうれしいことなんだ。と、アタシは思う。ほとんどのガザ市民は、自分は外には行けない。外の世界をみることができない。世界から長く孤立させられているような場所。だから危険を承知のうえで来てくれることがどれほどうれしいことなのか。それがよく伝わってくる。


ヘンな言い方かもしれないけど、映画全体の雰囲気がびっくりするほど優しく穏やかで、彼とガザの人たちのあたたかな交流が描かれるので、「ガザ」というイメージから映画を観るのを躊躇ってしまう方が観たとしても、全然大丈夫な映画となっている。とても敷居が低い。壁がない。そのことも今作を稀有な作品としているように思う。ガザの人たちが両手を広げてウェルカムしてくれているような。「ガザ」の人々に対するイメージを覆す力を持っている作品だと感じた。


イスラエルによる深夜の爆撃など、彼らの日常は絶えず破壊される恐怖と隣り合わせにある。あたたかな交流が描かれる映画だからこそ、かえってその日常のなかにある緊張などがより強く伝わってくる。デモに参加するとイスラエルの狙撃手は脚を狙ってくるので(命を奪われる人も多数いる)、次々と病院には負傷した人たちが運ばれてくる。手当をする医師たちも、救急外科医を目指すリッカルドにとても丁寧に教示する。なんかそういう場面も観ていて胸が熱くなった。自分の持つ知識や技術を、伝達できる誰かがいるということも大事なことだ。


赴いた当初は不安や途惑いを吐露していたリッカルドがガザで居場所を見つけていく過程がとても丁寧に描かれる。居場所って、自分がそこで必要とされているって実感できる場所のことを言うのかもしれない。リッカルドさんと、ガザの人々が互いにかけがえのない存在になっていくのがとてもいい。同じ医学生のサアディや、弁護士を目指すアダムたちと過ごす時間のかけがえのなさ。サアディとの、文化の違いをめぐる対話も忘れられない。海外ジャーナリストと現地をつなぐ役割を担いたいという女性ジュマナもとても魅力的でした。


映画の最後には、彼らのその後や、撮影した場所のほとんどが2021年5月には崩壊していたということが示される。出演者はそのときは皆無事だったということだけれど、今現在はどうなんだろう。出演者だけじゃなく誰もがみな無事であってほしいと心から願うけど、そんなことわたくしごときが軽々しく口にしてもよいわけがないだろうと自分の無知を自分で恥じつつ、とにかく学んでいきたいと思っています



 *

遅ればせながら、岡真理『ガザとは何か—パレスチナを知るための緊急講義』2023年(大和書房)を読んでいるところに、これ以上はないという絶妙なタイミングで、snatchさんによる今作のレビューがタイムラインにあがっていました。snatchさんのレビューがなければ出会えなかった作品でした。ありがとうございます!

 *

〈追記 2024年10月〉
読んで良かった本

岡真理『ガザとは何か—パレスチナを知るための緊急講義』2023年(大和書房)

岡真理・小山哲・藤原辰史『中学生から知りたいパレスチナのこと』2024年(ミシマ社)

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