このレビューはネタバレを含みます
一見して穏やかな日常が、不思議な緊張感の上に成り立っている。私だって何かがちょっと違えばこんなふうに暮らしていたかもしれないとか、こんなふうな感覚は私にもわかるかもとか思いながら観た。
夫役の陰気くさくて微妙に感じの悪いイケメンが誰なのか、キャストを確認するまでわからなかったが、なんと小泉孝太郎だった。最新のイメージが「家族でシュワシェア!」(伊賀天然水・強炭酸水のCM)なので、デビューからずっと彼には「さわやか」しかないのかと思っていたが、これは新境地だと思う。この使い方は素晴らしかった。そもそも、この人には「さわやか」に隠されたいろいろがありそうだもんね。
ダルデンヌふうの撮り方と江口のりこの演技力で、嫌でも主人公に同化させられてずっとキリキリと胃が痛いような気持ち。でもラストには解放も感じられた。行き場がないと感じていた主人公だけど、自分にも選択肢はあるのだということに気づいたんじゃないかと思う。