ヒノモト

蛇の道のヒノモトのレビュー・感想・評価

蛇の道(2024年製作の映画)
3.5
連続投稿失礼します。
「蛇の道」オリジナルからの続きです。
(2024年セルフリメイク)
フランスを舞台にしていることと新山が塾講師から精神科医に変更され、精神科医と患者というバディで復讐を完遂しようとする流れは、新山の真意は終盤まで明かされないものの、関係性としては依存になりやすく、台詞や辻褄合わせの展開からも、より現実よりの分かり易い映画に変容しているところが散見されていて、オリジナル版を知っているとその味わい深さは若干薄まったと感じてしまいました。

新山を演じる柴咲コウさんは切れ味はあるし、フランス語のナチュラルさも不自然は全くないのですが、フランス語翻訳のせいか脚本そのものも問題かは不明ですが、台詞そのものが、行動の過激さに反比例して、ソフトに感じられるところと、フランス人俳優陣の演技までも、少し没個性に感じてしまう部分もあり、物足りなさが残りました。

例えば、幽閉した容疑者に対して、亡くなった娘のビデオを見せるシーンでも、オリジナル版では重いブラウン管テレビを運び、ビデオテープをセットするプロセスに意味があるのですが、リメイク版ではその行為や動画そのものが演出の過程でしかなくなっていて、終盤にある娘の殺害の目的そのものが変わってしまうことに、このビデオを見せるシーンの意味合いが軽くなってしまうことなどもあり、オリジナル版の感想で触れた「フィルムノワール的な味わい」をより現実的な犯罪の復讐に置き換えることで、シーンを似せてつくっていても、違う味わいの内容になってしまうことが、少しマイナスに働いているように感じました。

印象に残るシーンは全てオリジナルにあるものなので、オリジナルを知らなければ、映画自体良さはより感じられるものの、オリジナルの補完以上に現代のリアルよりのシナリオが仇となっているのは否めません。
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