銀幕短評(#763)
「ぼくのお日さま」
2024年、日本。1時間30分。
総合評価 70点。
さいきん「ATOK(エイトック)」の最新版が出たので、さっそく買いました。今回からサブスク方式です。いまATOKの名を知っているひとは 日本の人口の3%くらいかもしれませんが、全盛時代では たぶん30%くらいの認識があったかもしれません。全盛期というと、わたしがその会社を担当して ハチマキをしめていた時代です。ATOKは、IME(日本語変換ソフトウェア)のひとつで、日本語解析・「予測変換」精度などの性能からいうとトップラスであると、長年されてきています。今回わたしが買ったのは、iOS版の直販で 月額660円です(なにも考えずにアップルのサブスクをとおして申し込むと 月々950円とボッタクられます)。いちにち たった2.2円で、スマホの変換が劇的にスムーズになるなら 安いものじゃないですか。あの「一太郎」を いまでも細々と作っているジャストシステム社ですよ。買ってやってくださいよ、直販で。いまなら2週間の試用が タダですし。マイクロソフトの「ワード」とケンカして、巨人にぺちゃんこに踏みつぶされましたが、どっこい 雑草魂で まだまだ がんばっていますよ。
で。いま わたしのフィルマでの映画鑑賞記録数は 自称763本ですが、カウンタでは820本を指しています。いずれにせよ、これだけ映画をたくさん観ていると わるいくせが付いて、ついATOKのような「予測変換」(つまり先回りですね)機能が脳のなかで はたらきだします。つまり、一本の映画を「起・承・転・結」に分解して 過去データのフォーマットに あてはめようとします。どの映画も 始まりはもちろん「起」です。なにかイベントや変化がおきて、ふむふむ いま「承」になったなと感じ取ります。このあたりで、つぎの「転」がハッピー方向にすすむのか バッド方向におちるのか、けっこう気になってハラハラと よくしますよ、わたしは。この映画でも かなりハラハラしました。予測変換思考の暴走です。とてつもない鑑賞ノイズです。
前置きがながいのですが、わたしの結論をいいます。わたしは この映画では、「転」に いつ どう変わるか一瞬で感じとりました。優秀なATOKのように。といっても、決定打をうたれる 5秒くらい前でしかありませんでしたが。もっと まえの段階で、もちろん作者の ほのめかしはあったのですが、そこまでは読み解けませんでした。「5秒前か。ううう、なんとか土俵ぎわで踏みこたえたぞ」と思って、さいごは締めくくりの「結」です。映画のラストシーンは、どの作品でも むずかしいですね。あたかも自分が監督になったようにドキドキしてしまう。ハッピーエンドなのかバッドなのか。この映画がどちらに転ぶのかは 読めたので、あとはラストのカットをどう処理するかです。ここは 自称 「趣味: 映画鑑賞」者としての腕が試される大勝負なので、最大限にドキドキします。でもこの映画では、わたしはちゃんと わかりましたよ。カットする場所とセリフが。ストンと。ただ たった3秒前でしたが。
ATOKには、なかなか追いつきません。