退院したら、せっかくだし旅行に行こうかなって思ってたんですけど、この猛暑じゃあ無理ですよね。だから、映画を観に行くことにしたんです。選んだのは、我が兵庫県が誇るミニシアター「塚口サンサン劇場」。そこで、名作「ソイレント・グリーン」を観てきました。
この映画、超有名なオチがあるんですよ。でも、ネタバレはナシで。「猿の惑星」くらい有名だから、詳しく説明することもないかもしれないけど、主人公はその「猿の惑星」でも主役のチャールトン・ヘストン。
物語は2022年のニューヨークを舞台に展開します。公開当時はかなり先の未来でしたが、今は2年前になりました。人口が爆発的に増加し、貧富の差は拡大、食料は不足しているというディストピア社会が描かれています。主人公は刑事のソーンですが、その出で立ちや生活ぶりを見るだけで、この未来社会がかなり荒廃していることが想像できます。食料を求めて人々が群がる様子は、「マッドマックス」を連想させます。この世界では、食料不足のため、ソイレント社が製造した人工食料であるソイレント・レッド、ソイレント・イエロー、そしてソイレント・グリーンが配給されており、人々はこのカロリーメイトのようなブロック状の食べ物に頼って生活しているのです。つまり、"食"という重要な部分を大企業に支配されているのです。これは「ロボコップ」で警察機構を管理しているオムニ社を思い起こさせました。しかし、一部の富豪は、わずかながらもフルーツや牛肉を口にすることができます。そんな中、富豪のサイモンソンが殺害され、ソーンが捜査に乗り出すところから物語が始まるのです。そして、彼はソイレント社の恐ろしい秘密を知ることになります。
映画では、わからない言葉が出てきます。「家具」とか「ホーム」とか「本」とか。でも、説明がなくてもなんとなく意味が伝わってくるのがすごい。「家具」って、金持ちに飼われている若くて美人の女性のことらしいんです。「家具」という立場の女性には、貞操観念ってないみたいで、その女性がソーンと簡単に寝ちゃうシーンには驚きました。これもディストピア感を出すための演出なのかな。
映画全体を通して、未来的な雰囲気はあまり感じられず、マシンやファッションなどは1970年代そのままですが、描かれている未来社会は恐ろしいものの、ある意味で的を射ていると思います。現在、世界の人口は爆発的に増加しており、貧富の差は拡大しています。また、大企業がインフラを支配しているという点も、ある程度当てはまるのではないでしょうか。
「ソイレント・グリーン」は、もう50年以上前の作品なのに、今観ても全然古さを感じさせないです。人口爆発、環境汚染、食料不足、貧富の差の拡大など、まるで現代の問題を予言していたかのよう。この映画は、私たちに「食」について改めて考えさせてくれるんですよね。