【人新世のチャールトン・ヘストン】
1973年製作の映画に描かれた、50年後のニューヨーク。
2022年のニューヨークは、人口爆発と環境汚染に見舞われ、ディストピア化しています。
映画では人口4000万人に達していますが、実際のニューヨークの2023年の人口は826万人。
昔の人が心配するほど、悪くはなっていません。
その他、上級国民の住居を装飾する美しき人間家具“ファーニチャー”なんて、ヤバイ機能が付いています。
知識・情報をインプットした“ブック"と呼ばれる知恵者たちがいて、まさかスマホが普及するなんて思ってなかったんでしょう。
“ブック"たちが集まる“交換所"も、アナログなSNSというところでしょうか。
と、かなりのなんちゃってSFになってはいます。
が、チャールトン・ヘストンとエドワード・G・ロビンソンの関係性が、おっさんずラブを匂わせる、先見性も見られます。
それにしても、今夏の日本の暑さは酷いですよね。
もう、これは狂暑です。
生態系の変化が懸念されます。
地球規模で見ても、大量消費・大量廃棄、地球温暖化、環境破壊、人口増加、食料・水不足など、将来の課題は山積みです。
今から50年後に、この映画のような未来が来ないようにしなければなりません。
経済思想家・斎藤幸平は、著書「人新世の資本論」において、人類の歴史を終わらせないために、「脱成長コミュニズム」という、晩年のマルクスが到達したという思想を掲げ、資本主義から抜け出し、脱成長を実現することで得られる「ラディカルな潤沢さ」を目指そうと提唱しています。
地球環境の改善は全人類共通の課題であり、正しい議論の必要性を感じます。
我々に残された時間は意外に少ない。
チャールトン・ヘストンの最後の叫びと突き上げられた手は、人新世に生きる僕たちへの警鐘になっています。