この映画、意外に愛すべき映画になるかもしれない。
えっとね、学園もので可愛い女の子を何人か出しときゃいいだろう的な、マーケティングありきの安易な映画ではありません。
かなり丁寧に作られたエンタメ作品なのであります。
馬鹿げててクスリとできるんだけど意外と骨太な内容でね。
観終わったあとの気持ちの良さもポイント高しです。
主演の女の子、いいなあ。
微妙な表情をきちんと表現できている。
そこに頑張ってる感とか技術的な演技作法など感じられず、自然にそうなった風に見えるのです。(いや勿論高度な技術を用い、頑張ってはったはずなんですけど)
それにスタイルがいいよ。
座ってても走ってても姿勢がよくスマートで、絵になるのです。
あとは高嶋政宏がいい。
ベッタベタの憎たらしいヴィランなんですが、これ以上やると、この映画に合わなくなるというラインをきっちり押さえ、それでも、こんな奴おらんやろ的にアクの強いキャラを演じていて、見事に映画のアクセントになっている。
これねえ、下手な俳優がやるとエキセントリックさだけが目につき、映画の温度に合わせてくれないんですよ。
折角いい出汁の出たおでんの最後に入ったカレーみたいな。
自分自身が目立つことしか考えてない。あーやだやだ。
こういう人たちって出てきただけで興醒めするし、映画の流れが止まっちゃうんだよなあ。
この映画の高嶋さんはちょうどいい。うまいなあ。
書斎に自分の自画像置いてる奴とか、嫌味を通り越してギャグやもん。
仕事もきちんとこなして地位を獲得し、でもそんな嫌味なことを何のためらいもなくやりそうな雰囲気があるのです。
しかしこの兄弟、最近変な役ばっかやってるな(笑)。
私が観てるのが偏ってるだけかもしれませんが。
助演クラスの女の子たちもみんなよく、物語を牽引する新聞部部長とか、その部長をただサポートしているだけではない副部長とか、何の苦労もなく高三まで過ごしてきたんだろうなあと観た瞬間に感じさせる西園寺真理(何故かこの子だけ名前覚えてしまった 笑)とか。
みんな誇張が過ぎず、それでいてそれらしさを感じさせる説得力を持っているのです。
肩の力を抜いて観られ、でも観た後は結構いいもの持って帰られる非常に質の高い1本ではないでしょうか。
あ、おでんにカレー、合わなくもないかもと今更思いました(笑)。