2024.08.13
藤吉夏鈴(櫻坂46)主演作品。
まさか僕が坂道シリーズにハマるきっかけとなった夏鈴ちゃん主演の作品が観られるとは。
しかもその相方には期待の新星・髙石あかりまで!
これはもう期待して観るしかない。
監督は『恋は光』の小林啓一。
私立櫻葉学園高校に入学した所結衣は、憧れの作家である緑町このはが在籍しているという文学部に入部するための試験を受けていた。
しかし謎のドローンが試験会場に侵入、結衣の頭に直撃したことで試験は不合格になってしまう。
結衣は文芸部部長の西園寺茉莉から、そのドローンは学校非公認の新聞部によるものということ、緑町このはの情報も新聞部は知っているはずということを聞き、新聞部に潜入入部することとなる。
そこで出会った部長の杉原かさねの元で、新米記者のトロッ子としてジャーナリズムを学んでいく。
虚構の世界を作る文芸の世界と違い、真実を公平な目で発信し、それが生徒の目に触れることに喜びを覚えるトロッ子。
しかし、緑町このはの行方を探るうちに、文芸部の闇、そして学園にはびこる権力が明らかとなってゆくー。
いやぁ〜夏鈴ちゃんかわいい。
そうは言ってもにわかなので、パフォーマンスやMVを見たわけでもなく、バラエティでクールにしていたり時々いじられたりしている姿を見ているだけで、最近出始めたドラマにも目を通していませんでした。
なので初めて見る表情が多くて新鮮っちゃ新鮮だったのですが、それらが映画の演技としてどうだったかはまた別の話。
細かい表情や仕草、あとはモノローグもなかなか良かったのですが、セリフに乗せる感情についてはまだまだだったかなという感じ。
どうか今作が大物監督の目に触れて作品への出演が増えますようにと願うばかりです。
そんな主演の演技の不足分を埋めていたのは、安定の髙石あかりと、シュールな役からシリアスな役まで幅広く演じられる髙嶋政宏でしたかね。
髙石あかりが演じるかさねの、ちょっと小狡い感じのジャーナリストもハマっていましたし、髙嶋政宏演じる理事長の、やってることは真っ黒なんだけどどこか憎めないような、魅力ある悪役もやはり素敵です。
ストーリー的には大きく前半と後半に分かれていた印象です。
前半は不本意ながら新聞部に入部したトロッ子が、かさねに振り回されながらも彼女の情熱にあてられ、真実を公平に発信していくことに意義を感じていくのが大きなポイント。
きっかけは些細なものでも、やっていくうちにどんどんのめり込んで人生の中で大事なものになっていくというのは、学園ものに大事な要素ですし良く描かれていました。
後半は学園版『新聞記者』って感じですね。
権力に対する報道のあり方、今作で言うと学生たちを情報でコントロールするというのは実際の社会で起きていても不思議ではないですし、これが企業になると学校で言う部費以上に利益という要素も入ってくるのだからより一層ややこしいことでしょう。
そのあたりを上手いこと学校の範囲内に収めていた印象です。
そして今作はトロッ子が元々文芸部志望だったということもあってか、文化作品に対する評価と金にまつわる点も描かれていました。
作品の評価や賞レースの結果などに裏金が入ってくると、それこそ現実から虚構に入っていったはずなのにそこから抜け出せないというか、本当に入りたかった虚構の世界なのかどうかという、もはやよくわからん話になってしまいそうですね。
商業作品になるとどれほどプロモーションに金かけるかとかも入ってきますが、そこは今作では学生の文芸コンクールということで、もっと純粋に賞を買収なんてダメだよねってところに落ち着いていたと思います。
個人的に少し気になったのはクライマックスの作戦実行シーンで、こういう色んな人の思惑が寄り集まって爽快感のあるラストに繋がっていく流れは好きなのですが、今作ではその作戦の出発点というか発案者というか、根幹の部分の描写がちょっとバラついていたかなという感じでした。