【複雑】
ジブチはアフリカの東端にあって、アラビア半島にあるイエメンとチューしてるように見える場所にある小さな国だ。
旧フランス植民地で、現在もフランス軍が駐留。
駐留による経済的メリットも大きいと言われている。
また、この地政学的に不安定な地域にあって、紛争など起こった場合、西側諸国はジブチを一時避難場所にすることもある。
イエメンの武装組織フーシ派がスエズ運河を通って紅海を航行するイスラエルと関連のある船舶に攻撃したことは記憶に新しい。
この「美しき仕事」は、表立った表現は避けつつも、フランス軍が率いる外国人部隊での、おそらくゲイであるガルーの上官と部下との間で揺れ動く感情と、抑えられない衝動などをストーリーにしたものだ。
上半身裸で繰り返し繰り返しぶつかり合うトレーニングをしているサンタンを見て、遠ざけようとするガルーを見ると、押し殺そうとしながらも、その複雑な感情にガルー自身が翻弄されているのだと考えざるを得なくなる。
そして、このジブチが舞台であることも何か意味があるように思える。
ジブチが独立後もずっとフランス軍がそこにとどまっている状況は、どこかガルーの複雑な気持ちに重なるものがあるのかもしれない。