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ナミビアの砂漠のKAKIPのレビュー・感想・評価

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)
4.0
記録用
山中瑶子監督作品。

原作ものの製作を進めていく最中突然オリジナル作品を進めていくことになりストックもなければ撮りたいものもなく徐々に出来上がったテーマが「逃走と闘争」。

当時映画製作業界が性加害や労働問題で話題が持ちきりの頃そんな業界に嫌気が差していた監督。
それが今作の金子大地演じるハヤシに対するどの面下げてモノづくりをしている?お前の作るものは世の中を悪くするという怒りとなって河合優実演じるカナから発せられるのだろう。

そして現場ではベテランに対して意見を言えない窮屈な環境を苦言を呈していて若手だけでスタッフィングしたことが功を成したということと慣れない脚本で主演の河合優実と何度も意見交換をなした結果従来の作品以上にリアルな若者の描写が完成した。

それはカナが感じる現実の生きづらさや窮屈さに反映されている。上の世代に物を申しづらいカナたち世代の生きる術、そしてその状況を客観的にみた目線が「日本は少子化と貧困で終わっていくのです。今後の目標は生存です。」という見解なのかもしれない。

単純に町田駅のズームで始まりカフェでの掴みのセンスや浮気相手のところに駆けつける様子や側転などはエドワード・ヤンやグレタ・ガーウィグなどの作品のサンプリングなど荒削りながら本能的に創り上げる才能にはこれからも期待です。

若者のレンズはより濃く時代を映したと数年後のほうが評価される気がするしナミビアの砂漠の動物の定点観測のようにその世代を客観的に観測する目を持っているところが冷静でいて恐ろしいところでもある。
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