【カタルシス】
ミュージカル「オペラ座の怪人」を初めて観た時、ああ、これは傑作だなと考えたことを思い出す。
「外見の醜いものは果たして心も醜いのか?」
物語になりやすいテーマだと思うが、ヴィクトル・ユーゴーなんかは割と得意としていたところなんじゃないか。
醜くはないけれども「レ・ミゼラブル」のジャンは犯罪者だし、「ノートルダム・ド・パリ(ノートルダムのせむしお男)」はまさにドンピシャだ。
あと、フランケンシュタインもそうだし、最近だったら「ハルク」や「デッド・プール」も同様だ。
そして、「オペラ座の怪人」のファントムは、醜いものの、芸術をこよなく愛する人物であると同時に、クリスティーヌに出会い盲目的な愛情を抱いてしまうという人物像だ。
ただ、これだけだとありがちなのだが、ファントムは、外見の醜さとは関係なく、芸術家にはありがちのように思える”エゴイズム”の象徴でもある。
ファントムはそんなところを表したメタファーでもあるのだ。
物語は終盤、クリスティーヌがファントムの醜い顔を暴いてから怒涛の展開になるのだが、映画としての良さはここからだ。
そして、クリスティーヌがファントムの顔に向き合っても恐れることなく優しい表情を投げかけた場面は、クリスティーヌの価値観が外見にはないのだと云うことを特に表現したかったのかもしれない。
まあ、最後にイケメンと逃げるけどね😁
「あなたは外見ではなく魂が醜いんじゃないのか」
ファントムとの熱い接吻(と書かせてください)。
そして、身を引くファントム。
観る人がカタルシスを感じる瞬間だ。
映画は舞台では表現できない目眩く場面なども織り込んで、シャンデリアの場面も大掛かりだ。
まあ、個人的にはミュージカルの方が好きだけど、映画も楽しめます。