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ぼくとパパ、約束の週末のMrCinematicのレビュー・感想・評価

ぼくとパパ、約束の週末(2023年製作の映画)
4.0
鑑賞記録

幼い頃に“自閉症”と診断された10歳のジェイソンは、生活に独自のルールと感性に則って暮らしていた。それを守れないとパニックを起こし、からかう同級生や学校に馴染めないでいた。ある日、クラスメイトから好きなサッカーチームを答えられなかった彼は、推しチームを決めるためドイツ国内の56チームを現地のスタジアム試合で見て決める事にし、それを聞いた父親は周囲の人と衝突しないことを条件に一緒にスタジアムを巡ることを約束したが...というお話。


現時点でもスタジアムを巡っている親子の実話を題材としたお話。


自閉症と我儘は違うー。
100人に1人の割合で自閉症といわれていて、意外と身近に潜んでいながらも、その症状に関しては全く知識を持ち合わせていなかったので、「普通」という概念が全く異なる景色を見て生活しているのだと見方が変わって、もっと視野を広げて日々というフィールドを走りたくなるハートフルに包まれた作品でした。

しかしながら、自閉症スペクトラム症を理解し向き合うのは、大抵の覚悟じゃないと安易なことじゃないことを骨に沁みるほど痛感した。

難しいのは、障害であることを理由に何でも許されることと、障害を持たない人がその人の苦労や障害を知らずに「通常」を押し付けることの双方の妥協しつつも歩み寄って共生する方法が不鮮明だということ。
どちらかが妥協し過ぎると、優位性が生まれて
今も偏見や差別化が起きてしまっているのではないかと感じた。

悔しいのは、ジェイソンを演じた子役の演技がリアルすぎて鑑賞中に一瞬だけ「解決を押し付ける面倒な子供」と思ってしまった。
本当は、誰よりも自分の事を家族から愛されてることを理解して一生懸命に生きてる、好奇心と野心に溢れた未来のある少年なのに...

その感情が、また壁を隔てる原因に繋がるかもしれないのに...
まだまだだなぁ...俺も...


一方でサッカースタジアムを巡るシーンは、サッカー好きの人なら間違いなく興奮しそうな凄い臨場感と熱狂が伝わってきて、超にわかの自分でも高揚のリズムが止まらなくなった!
やっぱり音楽やスポーツなど、偏見や人種の垣根を超えて理屈やルールや勝敗に囚われることなく心の底から、一喜一憂し分かち合うことが出来るツールであるべきだよね!
(なんかNEWSで勝つためにピッチを短くしたっていう国があるらしいけど...笑)



P.S
“アイラブユー“と”カラフル“の口の動きが一緒なのは盲点だった!
オシャレだねぇ〜。