クレイアニメの概念を根底から覆された『ペンギンに気をつけろ!』から、実に30年以上を経ての続編。
アードマンのウォレスとグルミットシリーズは本当に、実家に帰ってきたかのような安心感がありますね。
個人的にこのシリーズは怪盗ペンギンマッグロウ推しなので、彼が再登場するのがうれしい。
初っ端から筋トレしてる姿を見せつけ、テレビを見るため鏡面になっている缶の底を利用したり、刑務所(動物園)からウォレスのシステムをハッキングしたり、涙ぐましいまでの執念を見せつけてきます。
悪のボスがよく豪奢な椅子に腰掛けながら猫をはべらせてたりしますが、マッグロウの場合動物園なのでゴマフアザラシw
そして相変わらずの赤い手袋によるニワトリの変装()だけでなく、尼さんの変装までしてくるw
そんな彼は相変わらずブルーダイヤにご執心で、それを盗んだ罪をいつものコンビに被せようとしてきます。
そこで明かされる、30数年越しの衝撃の事実……そうはならんやろがい!
また、小ネタも豊富で、4枚の絵を選ばせる認証ではチーズの中に月(チーズ・ホリデーより。月はチーズで出来ているという言い伝えがある)があったり、『危機一髪!』のサイドカーが登場したり、『ひつじのショーン』の飼い主がカメオ出演したり。
ここも本当に歴史を重ねてきたんだなぁ……としみじみ。
話の方は、新たな発明品「ノーボット」が騒動の種に。
こいつら元から絶妙に憎たらしい表情な上に、充電時の音うるさすぎwいくら他が優秀だろうと、これだけで採算取れるのか怪しくなるレベルだと思う。
それに、何で最初から悪人モードなんてあるんですかねぇ……?ウォレスは「発明を人々のために役立てたい」と言ってますが、これ見ると非常に怪しい。
前作の『ペンギンに気をつけろ!』と同様、新参者に居場所を奪われるグルミットの悲哀が描かれますが、ウォレス、まるで成長していない……
AIの是非を描いた時事性あふれるテーマな一方、作中のテレビなどの調度品はことごとく古いままなのが印象的。
前作からいうほど年月が経ってないのか?
そしてアクションの方は、ラストはもうMIシリーズレベル。
ですが、チェイスシーンはやはり前作の方がスピード感も迫力もあったな……
というか前作が神がかりすぎたとも言えますが。あんな狭い舞台であれだけのスピード感とアイデアを両立させたのが凄すぎる。
発明品がなければ何もできなかったウォレスが、即席で発明して形勢を逆転させる件は好きなんですけどね。
ところで、動物園の潜水艦のシークエンス、あれ色合いとか照明とか絶対“ペンギン”つながりで『バットマン リターンズ』を意識してるよね?