この手のドキュメンタリーは鮮度が生命な気がしているのもあって前作を観ずに鑑賞。
ポスト・コロナってサブタイトルがあったけど、サプライチェーンの綻びみたいなものがなくても取り組んでいて欲しい内容ばかりな気がした。
フードシステムがもたらす温室効果ガスの排出とか森林破壊、地下水の枯渇とか商業動物や従事者に関する人道的問題。
食品産業を肥大化させ続ける必要のある資本主義やグローバリズムの弊害とか富裕層社会が虐げる貧困層へのアプローチなど、どれも既視感のあるもので目新しい知見はなかったかな。
環境に対して先進的なイメージのないアメリカでサスティナブルとか平等みたいなのとを語ろうとするとこういう語り口になる?なかなか迎合が難しい文化かもしれない。
超加工食品と低所得層の肥満や摂食障害、地方で家族経営する農作物生産者と大手企業の対立、培養肉の問題などテーマが多岐にわたっていて少し把握しづらかった。
生産者や労働者のコメントのつなぎ合わせと議員の前向きな発言で締めくくられた感じがするけど、少し短絡的な印象があって物足りなさもあった。
大手企業側に切り込んだり既得権にあぐらをかく古参議員や生活のため森を燃やし続けるしかない生産者にアプローチするような、マイケル・ムーア的な刺激的な内容が必ずしも良いとは思わないけど、「まずは出来ることから一歩前に踏み出してみよう」的なまとめは21世紀のこのタイミングではない気がしたし、『不都合な真実』でもう十分諭してもらっている気がしてしまった。
逆を返すと20年近く経って今ここ、って感じなのかな…2030問題とかやはり後戻りどころか取り返しがつかないのかもしれないと怖すぎる。
数代先の子孫のことを考えて行動するネイティブ・アメリカンの思想に準えたグッド・アンセスターとか、ブライアン・イーノのロング・ナウみたいな思想が必要だよなぁと思ったりした。
あと劇場がめちゃ寒くて風邪引くかと思った 泣