【想い続けた人生】
妙に聞こえるのかもしれないが、僕は、マリーはエッガーに再び会うことがあるから生きろとずっと背中を押し続けたんじゃないかと思っている。
この映画「ある一生」は激動の過酷な時代を生き抜いたことはもちろんだが、実はエッガーの深いマリーに対する愛の物語なのだと思う。
(以下ネタバレ)
親類の家での虐待や搾取。
その中でも優しい人。
独立のような独り立ちとマリーとの出会い。
近代化と未来への希望。
悲劇と絶望。
戦争と絶望。
終戦と孤独。
平穏な日々と孤独。
平穏であるからこそマリーが不在の孤独をより感じるのかもしれない。
書き綴り、そしてマリーの遺体のない棺へ入れられる手紙。
マリーとの再会。
ただ、それは悲しい。
「ある一生」なんてタイトルだからこそ感じる、一人の人間の人生なんてそんな簡単に言い表せるものじゃないはずだという逆説的なメッセージ。
人を生に突き動かすものの強さと深い愛情を考えた作品だった。