駅のシーンで『幸福の王子』を思い出した。宝くじで金メッキを得た主人公は、その金を周りや愛する人に気前良く施して行く。でもそのメッキが全て剥がれた時、与えていたのではなく奪われていたのだと気づき、もはや元の自分にも戻れなくなっていたのだった。彼が欲しかったのはお金でも自由でもなくて、王子に最期まで寄り添ってくれるツバメのような存在だったのではなかろうか。なんてことを思った。以下、徒然なる雑感。
・冒頭主人公がロトのことしか眼中にないので、ロトが協賛なのかな?と思ったけど、本作を見ると宝くじを買いたくなくなる。
・ファスビンダーさんは美男子ではないけど、いじらしいお顔をされてますね。それがよりこの物語をもの悲しくさせてるように感じた。
・FOXのデニムジャケットがこの物語を背負っていて素晴らしい。ファスビンダーさんは衣装にも大変気を配られる方ですね。
・天井が鏡張りのお店では浮気をしては行けません。
・モロッコロケの旅行シーンをもうちょっと見たかった。お揃いの真っ白のスーツ着ちゃって可愛いね。
・『不安は魂を食いつくす』のお二人が別々だけどちょい役で出てて嬉しくなった。
・立体駐車場?みたいなとこで並んで歩きながら別れ話をするシーン、マックスが天使みたいにくっついてる意味はよくわからないけどロケーション含めて見事だった。
・「彼、絶望してる」「そんな神経ある訳ない」みたいな台詞が衝撃だった。教養がない人は絶望もできないと思っている、ご自身の教養をお疑いなさった方がよろしくてよ。
・ところでタイトルは『自由(を死守するために振るう搾取という名)の暴力』って意味なのかな?