ハンナシグラって青いアイシャドウが世界一似合うんじゃないかしら。あんないい匂いがしそうな人に「私の愛が見えないの?」とか言われてみたい。そんなヴィリーの濃密な色香にうっとりしていられるのも束の間、豪華絢爛の舞台と阿鼻叫喚の戦場が何度も交差し、混乱かつ激動の時代を駆け抜ける壮大なメロドラマ。以下、浮ついた雑感。
・推し部屋みたいな独房で愛する人の歌を無限ループして聞かされ続ける、という画期的な拷問方法に震えた。忌み嫌っているもので攻められるより何倍も辛いから、考えた人は重度のオタクだと思う。
・劇伴がいちいち劇的だし、リリーマルレーンの歌もひっきりなしにかかるので耳が休まらない。でも戦時中の意識ってきっとこんな風に休まる時がないのだろうな。
・老若男女問わず全員を公衆の面前で素っ裸にさせる身体検査のシーンが普通に怖い。さらっと描かれてたけど、戦争時はこの身体の所有権さえ自分のものではなくなるのだ。
・ヴィリーのレトロな衣装が全部可愛かった。特に当時の帽子はデザインが多様で素敵ですね。奇抜なステージ衣装含め、何着てもどんなヘアメイクでも似合ってしまって流石です。
・ロバート役の方がちょっとマーティンフリーマン(髭あり)に見えて、シャーロックの登場を期待している自分が居た。出ないよ。
・これまで見たファスビンダーさんの映画の中で一番お金がかかっていました。