Pinch

リリー・マルレーン 4K デジタルリマスター版のPinchのレビュー・感想・評価

3.4
私たち個人は多かれ少なかれ何らかの組織の中で生きている。その組織の実践は例外なく誤りを含むが、それを許容しなくてはならない。完全に狂っていたとしても、受入れなくては生きていけない。飲み込まれれば楽だが正気を失う。そこそこ付き合わないと排除され、外れれば抹殺される。ほどよいラインを見つけろよ。そういうことだろ。

本心を晒すと、ウィリー役の俳優は『ペトラ・フォン・カント』で初めて見たときから性に合わない。何だあの最後の表情は。ロバート役も苦手。何だあの下手くそな指揮は。表面的な個別の感情に流される気はないが、人間は理性で動いているのではない。綺麗事では済まされないのが人間。それを忘れるな。そういうことだろ。

あれほど節操なく多産で夭折したファスビンダーという特異な映画作家について知るために他の諸作品と比較し関連づけるのでなければ、大した作品だとは思えない。
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