シネラー

劇場版 風都探偵 仮面ライダースカルの肖像のシネラーのレビュー・感想・評価

4.5
『仮面ライダーW』の続編漫画である
『風都探偵』の劇場版を劇場鑑賞。
Wの劇場版は名作と名高い
"AtoZ"を公開時に観た思い出があるが、
そんな10年以上経った記憶を
呼び起こす位の作品愛に満ちた内容が
とても嬉しかった。

『仮面ライダーW』の劇場版である
"MOVIE大戦2010"において描かれた
左翔太郎とフィリップが初めてWに変身した
"ビギンズナイト"を主軸とし、
仮面ライダースカルでもあり
翔太郎の探偵の師匠・鳴海壮吉との
出会いと別れを描く内容でもあったが、
先述の実写作品を知っていても
より詳細に人物の内面やアニメらしい
アクションを盛り込んでいて素晴らしかった。
アニメ『風都探偵』からの地続き
となっているものの、
少年だった翔太郎が鳴海壮吉と
出会ってWに至るまでが
翔太郎のモノローグを交えながら
描かれていく為、
『風都探偵』及び『仮面ライダーW』の
細かな補完を加えたオリジン映画と
なっているのは見易いと思った。
そこに加えて、
鳴海壮吉が翔太郎と出会った事で
"MOVIE大戦CORE"での出来事から
再起していく様子も描かれ、
本編では翔太郎やフィリップを導いた
完璧でハードボイルドな印象が強い
壮吉の人間味が描写されるのも新鮮だった。
実写では吉川晃司の演じた
鳴海壮吉を本作では津田健次郎が演じ、
渋味を損なわない声とキャラが
合っているのも良かった。

アニメ『風都探偵』でも感じたが、
実写では映像的にも難しい
怪人ドーパントの描写は
アニメならではの造形とアクションで、
そこは本作でも存分に
発揮されていると思った。
W本編で敵幹部として登場する
タブー・ドーパントに関しても、
実写では激しく動かすのが難しい故の
制約が外れてアグレッシブに動き、
キャラ造形で目立っていなかった箇所も
誇張されているのは新たな発見だった。
Wやスカルの戦闘場面においても
アニメによる利点を生かしつつ、
実写本編を想起させてしまう
再現が嬉しかった。
そして、Wのファングジョーカーによる
戦闘では激熱な挿入歌もあり、
更には幻のWのフォームとなった
サイクロンスカルに原作『風都探偵』
からの先出し要素もある等、
正にファンに向けて至れり尽くせりだった。

『仮面ライダーW』の入門映画として
申し分ない上でのファンサービス
豊富な映画であり、
既に大まかに知っている筈の
内容なのに新しい、
愛ある仮面ライダー映画だった。
『風都探偵』のアニメ二期を是非とも
お願いしたい限りだ。
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