Jun潤

ありきたりな言葉じゃなくてのJun潤のレビュー・感想・評価

3.6
2024.12.21

予告を見て気になった作品。
『らんまん』での好演が未だ印象的な前原滉と、好きなのに目にする機会がまだ少なめな小西桜子。

念願の脚本家デビューを目前に控え、それまでの報道番組の構成作家の仕事を辞めた藤田拓海。
先輩脚本家の京子の代打として講師を務めるワークショップの飲み会では、ハラスメント気味な言動が目立ち、その浅慮さが脚本にも表れていた。
しかし飲み会後に立ち寄ったキャバクラにて、拓海についたりえに対し、脚本家であることを高らかに宣言する。
そんなりえと親交を深めていく中で、ある日、泥酔して彼女と共にホテルに行く拓海。
翌朝起きると裸になっており、りえの姿もない。
何があったのか聞きたくてもりえとも連絡がつかない中で、自身が脚本を描いたドラマの打ち合わせや撮影が進んでいく。
そんな時、りえから呼び出された場所にて、りえの彼氏を名乗る衛から、彼女が乱暴されたこと、示談金として彼女が500万円を請求していることを聞かされる。
周囲への迷惑と言いながらも、拓海は保身のためだけに奔走する。
しかし支払いに首が回らず、中華料理店を営む両親や、何者かのリークによってドラマ製作陣にも事情が知れ渡ることとなる。
ドラマの製作現場にもテレビ局にも出入りが禁じられ、なんとかワークショップの講師に復帰することができた拓海だったが、受講生としてりえが現れた。
取り乱す拓海の前から再び姿を消すりえ。
両親の優しさに気付き、改めてりえと向き合うことを決意する拓海だったが、とある秘密を抱えるりえとはキャバクラで出会うより前から続く因縁があった。

むむ、、。
ダメ男を周りが全力ヨイショするって感じの話。
途中までは夢敗れながらも再起を図ろうとしてもなかなか実現できず、目の前のことすらちゃんとできないダメ男ムービーとして評価しようと思っていましたが、いつまで経っても拓海はおろか周囲の人物もホテルで起きたことにしか興味がないように描かれていた気がして、ダメ男ならダメ男らしく、やってしまったとされることは認めて開き直って、そこから再起するなりしないなりの姿を見せて欲しかったところ。
前原滉の顔付き自体がダメ男向きではなかったのかもしれませんね。

まぁその辺の保身にばかり走る姿以外でも、拓海のダメ男ぶりは発揮されていたのでそこまで悪い作品でも悪いキャラクターでもなかったですね。
クリエイターとしてそれっぽいことを言っていても、センスがないというか、ハラスメント気味で的も射ていないというか、京子の言葉を借りているに過ぎない言動に、結局やろうとしていることと自分が持つスキルやセンスが見合っていないダメ男成分が溢れ出ていました。
その割に自分なりのこだわりを持っているものだから尚更タチが悪い。
あと酒癖の悪さはどうしようもないですね。

何かを創作する大変さや苦しみ、やりがいなどと共に、うっすらではありますがジェンダーギャップも描かれていましたね。
創作の分野を描く作品にその要素が果たして必要なのかという話もありますし、拓海とりえの間では男女差で話が進んでいましたが、彼らの間にあるギャップはどちらかというと親からの愛情についてだったのではないかと。
子供の夢を信じ、仕事の手伝いの中で失敗してもフォローして支えてくれるが、創作には繋がらないある意味普通な拓海の親と、邪魔をして迷惑ばかりかけるが、創作性に繋がってしまうという皮肉なりえの親。
そこにギャップがあるから、今作のストーリーが生まれたのであって、男だからだとか女だからだとか、襲われただとか襲っていないだとかで話を進めていくのにはちょっと違和感でしたね。

何も知らないまま詐欺の片棒を担がされた衛が一番不憫よ……
Jun潤

Jun潤