このレビューはネタバレを含みます
「イル・ポスティーノ 4Kデジタル・リマスター版」
愛と隠喩。映画の撮影直後に亡くなったという主演の魂がこもったような映画。日本語字幕ではおよそ拾えていない意味合いが込められていそう。これを原語で観られる人たちはさぞ幸せだろう。
激動のイタリアを行きた人々の心情を音楽と美しい風景に載せて言葉を送る。そんな映画だった。
若き郵便配達人と偉大な詩人。2人の言葉を紡ぐ人が様々な詩を残すが、一番的を得ているのは、郵便配達人が恋をした女性の叔母だった。
言葉はどんなことでも表現できる。愛も怒りも悲しみも。だからこそ「言葉は最も厄介」なのである。ある意味で主人公は言葉に殺された。
劇中何度も登場する浜辺を歩く詩人。美しい言葉で紡がれた物語が彼の頭の中の回想と共に静かに幕を閉じるところが凄く印象的だった。