1950年に建てられ、地域文化の中心として活躍した首里劇場 。やがて映画が斜陽産業となり、成人映画専門館となる。三代目館長の金城政則はそんな老朽化した映画館を引き継ぎ、20年近く守り続け、2021年に名画座へと転身するが、その翌年に癌のために急逝。劇場は閉館となり、戦前の劇場様式を引き継ぐ首里劇場は、まるでゴシック建築の幽霊屋敷のような風格を帯びながら、解体の日を静かに待っていた。 そんな中写真家の石川真生は、閉ざされた劇場に足を踏み入れる。老いと病を抱えながらも、精力的に建物に染みついた、人々の記憶や気配をフィルムに焼き付けようと試行錯誤を繰り返す。また館長の甥からは、家族で経営する劇場の思い出が語られていく。華やかなころの首里劇場ではなく、成人映画館を営む、とある家族の記憶。他にも様々な人々が訪れ、それぞれの人生の中にある《劇場》が、消えゆく劇場の中で語られる。廃虚のような首里劇場を舞台に、生きることの切なさ、たくましさを、人間くさいユーモアとともに人々が伝える中、解体の日が近づいてくる。