奥山由之が自主制作で手がけ、東京・二子玉川の川沿いにある古ぼけたベンチを舞台に、人々の何気ない日常を切り取ったオムニバス長編映画。
1話(脚本:生方美久)小さい頃に遊んだ公園がなくなっていることを知り、幼馴染に電話をかける女。ふたりは思い出話に花を咲かせつつ、互いの近況や心理を探り合うが……。
2話(脚本:蓮見翔)スーパーで買ってきた食べ物を持ってベンチに座るカップル。ところが、女はおもむろに男に別れ話を切り出し……。
3話(脚本:根本宗子)ベンチでホームレス生活をする姉を連れ戻しにきた妹。ふたりは感情的に喧嘩をしているのだが……。
4話(脚本:奥山由之)ベンチの撤去を検討するために役所からやってきた男女。しかし、だんだんとふたりの様子がおかしいことが分かってきて……。
5話(脚本:生方美久)同棲間近の1話の男女。晴れて付き合うことになった彼女たちの会話とは……。
シーンとしては同じベンチのみ。自主映画とはいえ錚々たるキャストが熱演している。個人的には2話が特にお気に入り。
1話と5話については、ノットフォーミーというか……ずっとこそばゆい感覚が抜けなかった。あの会話ってリアルなの?大学生とかならともかくいい大人があんな会話するもんなのか?広瀬すずの横顔は文句なしで綺麗だったけれど、「早く終わってくれないかなー」という感じだった。
2話は純粋にかなり笑えた。絶妙なズレを非現実的にならないギリギリのラインで畳みかけてくるセンスと、誰もが持つほんのちょっとの違和感(岡山天音の服装とか寿司食べてることとか)をきっちり拾い上げてくる隙のなさが見事。
3話はネモシュー!という感じで濃厚。感情と感情のぶつかり合いで正直疲れるのだが、納得させられるというか……コアにあるところの重量が大きくて説得力があるのでグッと引き付けられた。あと、今まで見たことがなかった今田美桜の一面が見られて感心した。あんな演技できるんだね。
4話はなにあれ?あそこまで飛んでると冷めてしまう。
5話は1話の回収なので、感想は1話とほぼ同じ。
という感じでした!!純粋な会話劇なので、ステージでの表現に慣れている脚本家とそうではない映像中心の脚本家で明暗分かれたなというのが私の印象(あくまでも私の好みとしてはだけど)