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アウトサイダー コンプリート・ノベル ‐4Kレストア版‐のinazumaのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『フランシス・F・コッポラ特集上映 -終わりなき再編集-』にて。

超豪華キャストで贈る贅沢ヤンキー映画!…ではなく、実際に貧富が激しく、社会階級でグループ分けされているオクラホマ(タルサ)で、貧困層の″グリース″一派と富裕層の″ソッシュ″一派の戦いを描く重めの青春映画。

喧嘩で超えてはならない一線を超えてしまったことで、終わらない暴力の渦に飲まれていく展開になるかと思いきや、主人公たちが人命救助を成したことでソッシュ側が「君たちと戦える気がしない」と休戦を持ちかけるというまさかの展開になるとこはちょっとしびれた。たけし映画とか井筒映画とかそれこそコッポラの『ゴッドファーザー』シリーズとかで、終わらない暴力こそがリアルなんだと思ってたこともあり、こんな生易しいことが起こりえるのかと正直思いつつも新鮮に感じたし、ソッシュ(ランディ)のことは嫌いだったけどこのシーンがあることでキャラクターに深みが出て好きになるし、グリースとソッシュの敵対関係の背景がセリフから滲み出てて、彼らがかつてタルサを貧富の差で分割したなにかの被害者であることも伝わるよいシーンでした。

あと、何が重いって、ラストでポニーボーイがジョニーからの手紙を読み上げるとこ。ジョニーの遺言「ダレルにきれいな夕日をみせてやってくれ」は既に亡きダラスには届かず、、亡くなった両者の顔が浮かび上がるとこはかなりキツかった。。皮肉なことに、どちらの死も喧嘩によるものではないところもキツくて、最後の最後に暴力が行き着く先を見せられた感じがして、モヤモヤが残ってしまった。

とはいえマット・ディロン、パトリック・スウェイジ、エミリオ・エステヴェス、トム・クルーズ……イケメンオヤジたちの若かりし姿が新鮮で観て得しました。

マットは『ハウス・ジャック・ビルト』を観て以来、彼を見ると″悪行″がフラッシュバックして怖くて仕方なかったですが、本作での爽やかな兄貴っぷり堪能できたことでちょっとサイコなイメージが払拭できたかなと思います!
我らがトム・クルーズはこの頃から″危険なことやりたい病″が出始めていた!車のボンネットの上からヘルメットも何もせずバク転降りを何回もやってるとこみてそう思いました。

ポニーボーイが公園の噴水に顔をつけられてるところに血が水中を漂ってくる場面は『ぼくのエリ 200歳の少女』を思い出しました。見ようによっては同じ″アウトサイダー″映画で、コッポラへのオマージュなのかと、勝手な想像ですが良い発見がありました。
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