Jun潤

キノ・ライカ 小さな町の映画館のJun潤のレビュー・感想・評価

4.0
2024.12.22

予告を見て気になった作品。
『枯れ葉』のアキ・カウリスマキ監督が仲間たちと町で初めての映画館を作る様子を追ったドキュメンタリー。

フィンランドにある、かつて鉄の鋳造で栄えた町、カルッキラ。
この町の近くで生まれ育った映画監督、アキ・カウリスマキが、工場の跡地に町で初めての映画館「キノ・ライカ」を作ることに。
車や音楽など、それぞれの趣味に興じる町の住人たちの心の中には、カウリスマキ監督の映画があった。
そんな彼が作り上げていく映画館に、町の住人たちは期待に胸を膨らませていく。

まさかの映画“館”作り映画。
カウリスマキ監督主導の元、地道に作り上げられていく映画館の様子を中心に、町の住人たちが想うカウリスマキ監督の映画や自分たちの趣味について語っていく、ある意味町そのものを対象にしたドキュメンタリー作品。

映画以外の芸術作品については疎いもので、作中で町の住人たちが話していたことを全て理解しきれたかと言われると微妙なのが正直なところ。
なので普段行き慣れている映画館がどのように出来上がっていくのかの過程や、カウリスマキ監督が抱える、監督一人では成し得ない映画作りに携わったことのあるカルッキラの人々に対する恩返しのような想いを垣間見ながら鑑賞していました。

他の映画を題材にしたドラマやドキュメンタリーを観た時と同じように、映画を作る上で本当に様々な人々が関わっているんだということを、もう何度目になるのかってくらい改めて思いました。
そして映画は作品を作る人たちだけでなく、その作品を上映するためのハコを作る役割もまた、とても重要であることを感じさせてきました。

ラストのナレーションも印象的でしたね。
カルッキラの人々が自然と共に生き、映画もまた自然と一体となって芸術と生活の間に作られるのであれば、映画館があれば人々は自然や芸術と触れ合うことができる。
普段あまり意識が行き届かないことですが、とても大切なことだと思いますし、たまにでいいから、そんなことに想いを馳せながら映画を鑑賞していきたいものです。
Jun潤

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