必ず守る。

リー・タッチウ監督、ホアン・ジンユー、ワン・イーボー等の共演による中国製作の軍事アクション。
反政府武装集団と政府軍の武力紛争が続くアフリカへ、国連の要請を受け派遣された中国の国連平和維持警察隊「Formed Police Unit（FPU）」の姿を描く。
主人公となる警察隊の分隊長ユーをジンユー、狙撃手ヤンをイーボーが演じているほか、チョン・チューシー、オウ・ハオ等が登場。
物語は、冒頭倉庫での銃撃戦でスタート、実はそれは警察隊の訓練シーンなのだが、銃撃音が彼方此方で響き渡る様は実践さながらであり、本作品のクオリティの高さが期待できるもの。
以降、アフリカの某国に派遣された警察隊と、不安定な政局にある現地の人々の様子が中心となり、序盤にあるパルクールのような追跡劇を筆頭として、銃撃戦を中心としたアクションを中心に、カーチェイス、大爆発、そして挙げ句の果てには移送中に台風が迫るという展開を見せ、息つく暇もない。
何より、アフリカで実際には撮影してないと思われるため、ほぼセットなのだろうが、普通に道端に死体が転がっていたり、安易にCGやVFXに頼っていない映像のクオリティは非常に高く、どこから銃弾が飛んでくるかわからない緊張感に満ち溢れたもの。
そんなリアリティがあるものの、ベースとなった国はあるのだろうが、派遣された国名が架空のものであると同時に、多分エンタメ感を高めるために使ったであろう銃弾がスローモーションになるエフェクトが、どうにも安っぽく見えてアンバランスに感じてしまったし、その演出が終わった時のカメラの切り替えにスムーズさを欠いてしまっていたのは残念だったところ。
クルマ好きの視点からすると、普段目にすることはない国連特有の白いボディの装甲車によるカーアクションが、その重量感を活かした迫力たっぷりなものに仕上がっていたのは見逃せないポイント。
物語自体、決して面白いと言える類のものではないし、アクションものにありがちな終始無傷な主人公とは違い、結構傷だらけになるリアリティがある反面、前述のようなエンタメ作品のような演出とのギャップが今ひとつかなと感じたこと以外は、軍事アクションものとして悪くない仕上がりであるとともに、本作品中では紅一点とも言える存在の通訳を演じたチューシーが本仮屋ユイカに見えてきた一作。

そして正義に国境はない。

去年試写で観せてもらった映画

お金は割とかかってるぽくて派手な部分も多いし、何も考えず観れる映画だったけど、内容あんまり覚えてないや…
2025
10

◎段々がっかりｼﾞｬﾝﾙ違いな中華国連活動PR映画

大人気中国イケメンスター王一博＝ワン・イーボーがまたまた出ているらしいぐらいの情報でシアターに。

正月明けてすぐの連休中だというのに、何とお一人様での鑑賞。

中国が内戦状態のアフリカのサンタレオネ共和国（架空の国だがシエラレオネがモデルらしい ＊1 ）で国連によって行われている平和維持活動（PKO）に参加、現地に派遣されたFPU（平和維持警察隊）の活動を追ったストーリー。

はじめは中国映画も、いよいよ国際化して来たもんだ、と思いながら観ていると、‥‥

【以下ネタバレ注意⚠️】








参考＊1 daily daily 2024-07-10
中国映画レビュー&解説「FPU～若き勇者たち～ 维和防暴队 Formed Police Unit」
www.teppayalfa.com/entry/2024/07/10/140226

＊2
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/シエラレオネ

本来、「平和維持軍」ではなく、あくまでも現地の治安を維持する警察組織なので最低限の銃器は所持しているものの、自衛のためであっても本部の許可がないと反撃の発砲さえ許されないという手枷足枷状態の部隊。

任務は、ファブール村の人びとを虐殺した反政府ゲリラの首領アミールの犯罪事実を裁判所で証言する生き残った村人たちを護送すること。

ところがゲリラ側は、よそ者に厳しい現地感情を焚き付けるなどして暴動を引き起こしたり、スナイパーによる証人殺害に打って出たり、次第に彼らの容赦のない反撃は苛烈さを極め、善意の平和維持部隊である中国FPUの面々も満身創痍に。

ハンス・ジマーもどきの音楽含めて、まぁよくもハリウッドのド派手アクションを見事に模倣したものだと感心したが、ギリギリのところで味方が助かる場面の繰り返し含めて、ゲリラとの攻防シーンばかり休みなく畳み掛けて再現されるものだから、段々と呆れて来るのだ。

そもそも、平和維持活動をテーマとするなら、ドンパチばかり見せるのではなく、アフリカ現地の抱える様々な問題点を描き出したり、どちらが善悪とも一筋縄では決めつけることの出来ない複雑な情勢についても正しく伝えなければウソだろう。

だから観ていて、
「まぁ、もういいから、少しは落ち着け」
と銀幕に向かって言いたくもなって来てしまうのだ。

そもそも、国連によるPKO活動を描くというテーマの設定なのに、戦争アクションというジャンルを選択したこと自体が間違っているとしか思えない。

おまけに、最初は、「ここまで出来るとは、やっぱり中国には敵わんなぁ」と少しは肯定的に観ていたドラマ自体も、何だかアクションシーンのインフレばかりが進行して、諸々の伏線は放り出したままで尻すぼみ。

最後には、「中国では2000年から世界13地域に2,700人を派遣し、現地の平和回復と維持に貢献している。」という字幕画面がシラーッと出て、あぁ今さらだけど中華製の国策プロパガンダ映画だったぢゃん、やっぱり、‥‥

という限りないまでの残念感で終わってしまうのだ。

おまけに聴きたくもない、日本なら何十年前の吉幾三の「オラ東京サ行くだ」みたいな、中国語の軍歌調のラップまがいなダサい歌などなどを何曲か聴かされる、という苦行までオマケ付き。

これ、かの名作「インファナル・アフェア（2002年）」シリーズの香港の監督アンドリュー・ラウ（劉偉強）が製作総指揮したと知って、またまたガッカリ。

あの輝いていた栄光の香港映画の成れの果てが、こんなんなんて。

これがサンタレオネ共和国どころか、一番の悲劇なんぢゃないかな。

《その他の参考》
＊3 映画にわか　2025年1月12日 by さわだ
中国も国際化の時代だ映画『FPU　～若き勇者たち～』感想文
www.niwaka-movie.com/archives/18549