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6888郵便大隊のmaverickのレビュー・感想・評価

6888郵便大隊(2024年製作の映画)
4.2
2024年のアメリカ映画。配給はNetflix。


第二次世界大戦において、全員が黒人女性で編成された実在の部隊に基づく物語。戦争ドラマとしても見応え十分。歴史を知る上でも価値のある作品。さらには黒人問題についても考えさせられる。Netflixらしい上質な作品性だ。

差別的に扱われる黒人女性の部隊が、国にとって無くてはならない存在へと変貌を遂げる。それは彼女らの努力の賜物であり、屈辱を受けようとも歯を食いしばり、誇りを失わずに任務を全うした力強い行動の結果である。虐げられたからといって恨むのではなく、見返してやるという心意気が天晴ではないか。誇らしく生きることの大切さを教えられる。

戦地に赴く兵士と、その大切な人とを結ぶ手紙。それがいかに大切な存在なのかを痛感させられる話だ。互いを繋ぐ唯一の手段として、それを心の支えにしていたのが分かる。どの国でも手紙は神聖なものだったのだなと。それが届かないということは大問題であると理解出来る。だからこそ6888郵便大隊の職務は無くてはならないものだったのだ。彼女らも誇りを持ってその仕事を全うした。誰かに感謝され、必要とされるのは嬉しいものだ。

『ジャンゴ 繋がれざる者』の、ケリー・ワシントンが指揮官役で主役を務める。力強い演技が印象的。「アテーン、ション!」の号令が耳に残る。『ビール・ストリートの恋人たち』のエボニー・オブシディアンは物語上のヒロイン役。スーザン サランドンも短いながら印象的な役で出演していた。

冒頭の戦場シーンは、さながら『1917 命をかけた伝令』のような緊迫感。基本は人間ドラマだが、差し込まれるアクションシーンはどれも迫力がある。Netflix製の大作映画といって差し支えない出来だ。


実在の部隊を描くということで、本人からの証言も貴重である。自分達の行いが国からしっかりと認めてもらえるのは救いであろう。時代も良い方向へと変化しているのだと感じる。感動が大きい良き作品であった。
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