家族って火の玉みたいで毛糸だまのようで鉄球みたいで一体どこへ転げていくのか、そしてシャボン玉のように儚い
今の目線で見れば色々と思ってしまうが、精神科病棟に良からぬイメージがあったこの時代、近所に知られたくない気持ち、医師である父と医療研究者である母が自分たちで精神を患った娘を家で見ると決めたのは、この病気を打ち消したく病名を認めたくなかったのであろう
でも他人には出来ない子の親だからこその家庭でのケアと、親だからしてしまう子どもを自分の付属品のように見做す独善が混ざり合っていた
でも更に親の子を愛する気持ちが、振り払っても自分に投げかけてくる。それがこの家族。アレは部屋ではなかったので正直まだ良かった。同じ状況だったら自分はどうしていたか…
弟さんは三人から離れて家を出る
十年後、映画学校を卒業した弟さんは、悪化した姉を見てビデオカメラで記録を始める。映画にしようという気持ちはなく
直接の言葉の応酬だと、家族は中から崩壊していたかもしれない
カメラを抱えてレンズ越しの撮影行為がガラス板のようになって家族の対話が続いていく
監督さんはいつか1人になってしまうけれど、過去に囚われすぎずにと思いました
聡明で明るく優しいお姉さんを見ていると、誰もが精神のバランスが崩れる因子は持っているし。終盤のマコさんの笑った顔とあの人懐っこいポーズを支えに。