【ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!/1960年代という時代】
※Disney+作品
ドキュメンタリー映画「NOハンブルグ、NOビートルズ」のレビューでビートルズのドキュメンタリー映画には最近食傷気味なんて書いてしまったが、この「Beatles ’64」は最高に良かった(笑)
「ビートルズがやって来る ヤァ!ヤァ!ヤァ!」は、ビートルズの楽曲「A Hard Day's Night」に当初つけられた邦題だが、当時の日本の人たちは、こんな邦題を許すくらいビートルズに熱狂していたのだ。
因みに、曲名はその後オリジナル・タイトルがそのまま使われるようになったが、曲名と同じタイトルの映画はこの邦題が今でも使われている。
ロックを当初けん引したのはエルビス・プレスリーだが、ジョン・レノンの解説が面白い。楽曲に合わせて身体を動かすのはブラック・ミュージックを想起させて当時のアメリカの保守的な白人(特に男性の)連中には警戒されたが、イギリス生まれのビートルズはよりWASP的だっとところが受け入れられやすかったというのだ。
だが、僕の個人的な考えだけれども、1960年代は女性解放運動の時代で、この動きが徐々に強まるなか、流行には敏感だが、エルビスの波に乗り遅れてしまっていた女性・女子の興味を強く刺激したことが、ビートルズの人気をより強固で巨大なものにしたのではないかと思う。
これを契機に男性の陰に隠れがちだった女性が、消費という点でも大きな存在になったと言っても過言じゃない気がする。
身体を揺らさないが、「She Loves You」や「I Wanna Hold Your Hand」のようにクリアで簡単、リズミカルで繰り返しのフレーズも当初の人気拡大をけん引したのは間違いないと思う。
しかし、その後は、同様な音楽性を続けるのではなく、メロウな曲もあってビートルズの多彩さも人気を確固たるものにしたのだろう。
そして、1960年代はテレビの普及によって映画産業が衰退した時代とも言われていて、そんな中、テレビを通じてビートルズは世界をマーケットにしていったのだ。
変化の時代。
自由が台頭した時代。
SNSが従来のメディアにとって変わるなんていう人もいるが、自由が後退するようなことがあってはならないと思う。
もしかしたら、ビートルズみたいなアイコンが必要なのだろうか。
いや、多様化が叫ばれる時代。
一つのアイコンに頼らず、多様性がアイコンになるように祈りたい。
ビートルズも多様性を後押ししていたではないか。