【無題】
8mmと16mmを混在させる手法は実験的で、ノスタルジックな感じを際立たせるし、田口監督のインタビュー記事をたまたま読んでしまったということもあるのだけれど、ご自身の今撮っている映像もいずれは過去のものになるという思いも込めて全体的に霞がかかったような古ぼけた映像にしたんじゃないかと思った。
そして、8mmに残された記録映像や、映画制作も目指していたというストーリーが組み込まれているところは、映画業界を”夢見た”ことがある人へのオマージュのようでもあるし、監督自身が自主制作作品に感じている乗り越えようにも乗り越えられない”何か”の存在・ジレンマ、或いは、コロナ禍という特殊な状況での閉塞感を示唆しているような気もした。
夏海さん演じるアキの見せる夢見る危うさは、映画制作を夢見ることと何ら変わらないのだと、不条理な世界が待っているのだと言っているようにも思える。
でも、なんか、きっかけとなる叔父さんの死もそうだが、監督のインタビュー記事も遺書っぽい感じがして、まだ若いのに大丈夫なん?って心配にもなった。