あなたは知らない、ティム・バートンに対抗したもう一つの「アリス」
ストーリー
恋人ジャックが何者かに誘拐され、それを追って鏡の中へ飛び込んだアリス。そこは、ハートの女王が支配する摩訶不思議なワンダーランドだったが…。
監督・脚本 ニック・ウィリング
主演 カテリーナ・スコーソン
ハッター役のアンドリュー・リー・ポッツ見たさに鑑賞。
世界でも珍しい彼のファンです。
「アリス」として面白いアプローチをしている。荒廃した都市でありながら近未来設定の世界観はどこか「クラウドアトラス」などに近い。そして、やっている事はティムバートンの「アリス・イン・ワンダーランド」そのもの。
今作とティムバートン版の違いは"どこまでクレイジーになれるか"である。
今作は予算の都合とイギリス制作とあって、規模が小さくイギリス訛り、イギリスの建物や小物が多く登場する。
そして、何よりクレイジーなキャラクターがいない!それはお国柄なのかわからないが、ハッター、赤の女王、含めてほぼマトモ。
物語は忠実に沿っているのだが、キャラクターの弱さがティムバートン版と比較する対象なのは間違いない。(やっぱりジョニーデップは偉大)
全員まともで、唯一クレイジーなキャラは1人の爺さんだけ。しかも、そのクレイジーさは「アリス」というよりマイケルベイの「トランスフォーマー」シリーズに近いと感じた。
この手のタイプはパケ写だけ綺麗で、中身は雑なのかとか思っていたが、映像もちゃんと綺麗。世界観も"予算の限界"を感じる場面は多々あるが、それでも予想していたものより上出来。ハッターがスマートなアパレル店みたいなのを経営していた時は「さすがイギリスだな」と感じたほどだ。
同時に一つ疑問なのが「アリス」である必要性があったのか?である。
答えは簡単で、その必要性はない。
何故なら、登場キャラや怪物たちは名前だけでほぼ、知らない外見をしている。もはやロボット。
それにイギリス特有の"恐竜"を使いたがる現象が起きており、その例がジャバウォーキー。あれは「プライミーバル」系作品の恐竜だと間違いなく思う。
ディズニーが「アリス」をティムバートン×ジョニーデップで映画化するから対抗馬として制作されたのかはわからないが、今作の1年後にティムバートン版が公開されているとすると、実にタイムリーである。
(その思惑は少なからずあったと推測する)
しかし、今作の凄いところはもう一つある。
それが驚くレベルのキャスト陣の豪華さである。名脇役、コルムミーニィ、「IT」や「ホームアローン」のティムカリーにアカデミー主演女優賞受賞のオスカー俳優キャシー・ベイツが赤の女王として君臨!
この豪華さと顔の濃さはなかなか観ないレベル!このメンツを観るためが一つの鑑賞ポイントである。
そして、個人的に大ファンなアンドリューリーポッツ。
彼の演技は相変わらずで「プライミーバル」と対して変わらない役柄、演技幅。
今作は彼の代表作の一つだったので鑑賞したが、パケ写のビジュがまぁまぁ良かった事くらいだろう。
今作は二部作の第一弾。
後半を観てもう一度色々考えを改めたい。
Filmarksではまだ誰も鑑賞していないので、スコアは甘々である。