マイケル・パウエル&エメリック・プレスバーガー共同監督の軍人の生涯を丹念に描いた作品。英国らしく生真面目ながら遊び心を感じさせる渋いオヤジが全面フィーチャーする「プライドと誇り」の物語と言える。
恋人役のデボラ・カーが一人三役を演じ切っているのに驚いたが、かなりの長尺なのに飽きさせないキャラの魅力とシナリオの纏め方が見事だった作品。辛辣なナチズム批判も絡め、反骨精神とヒューマニズムが感じられる渋めの戦記モノとなっている。硬さと柔さが丁度イイ塩梅で画面に漂う不思議な構成で引き込まれる作品でもある。
たしかに今観るとアナクロで古臭い演出かも知れないが、ドッシリした俳優たちの存在感とキャラの突き抜けた感じは本物だと思う。こういう英国の渋い軍人映画はなかなかの掘り出し物だと個人的には感じる。『赤い靴』や『ホフマン物語』の監督とは思えない生硬さがあって思わずウフフ😇となってまう。