Omizu

スパルタカスのOmizuのレビュー・感想・評価

スパルタカス(1960年製作の映画)
3.8
【第33回アカデミー賞 助演男優賞他全4部門受賞】
スタンリー・キューブリック監督がハワード・ファストの小説を映画化した作品。アカデミー賞では助演男優賞(ピーター・ユスティノフ)など6部門にノミネートされ、4部門で受賞した。

当初は『西部の人』アンソニー・マン監督で進められていたが、製作・主演のカーク・ダグラスとの衝突により降板、まだ新人だったキューブリックに白羽の矢が立ったという。

また赤狩りにより追放されていたダルトン・トランボが13年ぶりに実名で脚本を手掛けたことも話題になった。

前置きが長くなったが、非常に素晴らしい歴史スペクタクル映画だった。キューブリックのフィルモグラフィーからすると異様な作品ではあるが、王道によく出来た作品になっている。

無駄のない構成と脚本、カーク・ダグラスをはじめとする役者陣の熱演、隙のない演出と欠点が見出しづらい。王道歴史スペクタクルとして大満足の一作だ。

キューブリックは失敗作だと言っていたようだが、確かにキューブリックのテイストはあまり感じないものの、雇われ監督として十分なくらいの演出手腕を発揮していると思う。

実在の反乱軍のリーダー、スパルタカスを描いており、結末が分かっているだけに悲壮感が溢れる。奴隷として売られ傷ついた人々を導く存在をカーク・ダグラスは持ち前のカリスマ性で見事に演じている。

ラストも一縷の望みを託す感動的なものでよかった。美術や衣装も豪華で目に楽しい。演出にもメリハリがありハラハラの連続。

グダグダで冗長になりがちな古代ローマを舞台にした時代ものだが、キューブリックとトランボの見事な構成力でまとめあげている。王道に面白い作品だった。長尺だが退屈しない。
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