【ヴァンパイア映画のススメ】
『ドラキュラ』(1992)

◆本作のポジショニング
　人類 ←← (捕食) ←← ヴァンパイア

〈見処〉
①フランシス・コッポラが描く、
　ありのままの「ドラキュラ伯爵」
・『ドラキュラ』(原題: Bram Stoker's Dracula) は、1992年に制作されたロマンホラー。
・本作の舞台は1462年のルーマニア。トランシルヴァニア城主のドラクル(ゲイリー・オールドマン)は、遠征中の誤報がきっかけで最愛の妻エリザベータを投身自殺で喪う。
・ドラクルは司祭から自殺者の霊魂は神に救済されないことを聞かされ、絶望の末、神への復讐を誓い、吸血鬼と化す。
・時は流れ1897年。ドラキュラ伯爵は、ロンドンの弁護士、ジョナサン(キアヌ・リーブス)をトランシルヴァニア城に招き軟禁、ジョナサンの婚約者であり、亡き妻と瓜二つの女性・ミナ(ウィノナ・ライダー)に会うためにロンドンへ渡る。
・それからしばらく経ち、城から脱出したジョナサンはロンドンに戻り、ドラキュラ伯爵がミナを奪おうとしていることを知る。ジョナサンは、既にヴァンパイアの悪行を追跡していた形而上学者のヴァン・ヘルシング(アンソニー・ホプキンス)と共にドラキュラ伯爵に戦いを挑むことを決意する…(Wikipediaより抜粋)。
・本作は、1897年に発表された恐怖小説の古典『吸血鬼ドラキュラ』を、名匠フランシス・フォード・コッポラが、原作のイメージに忠実な、耽美と恐怖のゴシック世界のスタイルにて「ありのままのドラキュラ」が描かれている。
・本作は4000万ドルの予算に対し、2億1500万ドルの興行収入を稼ぎ出し、また第65回アカデミー賞では特殊メイクアップ賞、音響効果編集賞、そしてコスチュームデザインを担った石岡瑛子が衣裳デザイン賞に輝くなど、興行的にも評価的にも成功した作品となった。

②本作とそれぞれのキャリア
本作のキャスト・スタッフの置かれた状態を事前認識して鑑賞に臨むと新たな発見があるかも。
◆フランシス・コッポラ (当時53歳)
『ゴッドファーザー PART III』(1990)にて監督・脚本・製作を務め佳作に仕上げるも、偉大なる前２作と比較され、大バッシングを受けた後の作品が本作。キャリアの下降時期に該当。
◆ゲイリー・オールドマン (34歳)
・本国イギリスからハリウッドに進出。話題作『JFK』(1991)の次作品が本作。キャリア爆上げ時期に該当。
・オールドマン当たり役の『レオン』は、本作の２年後に出演。
・ユマ・サーマンと離婚(1990～1992)。
◆アンソニー・ホプキンス (54歳)
『羊たちの沈黙』(1991)のハンニバル・レクター役で、アカデミー主演男優賞に輝いた翌年に出演したのが本作。キャリアピーク時期に該当。
◆キアヌ・リーブス (28歳)
・本作の前年、1991年には『ハートブルー』『ビルとテッドの地獄旅行』『
マイ・プライベート・アイダホ』と立て続けに注目作に出演していたキャリア爆上げ時期に該当。
・代表作『スピード』は本作から２年後の1994年に公開。
◆ウィノナ・ライダー (21歳)
・『シザーハンズ』(1990)、『ナイト・オン・ザ・プラネット』(1991)に続くキャリアピーク時期に該当。
・しかしながら、本作の監督作『ゴッドファーザー PART III』(1990)のメアリー役にキャスティングされ、当時交際していたジョニー・デップと撮影ロケ地入りをするも、ノイローゼにより撮影直前に降板。「プッツン女優」の気配を感じさせるようになった時期でもある。
◆モニカ・ベルッチ (28歳)
・イタリア人にありながら、パリでモデル業を務め、1990年に女優デビュー。1992年には本作にて初のアメリカ映画に出演。代表作『マレーナ』(2000)まで主にフランス、イタリア映画を中心に活躍。
・1999年に俳優のヴァンサン・カッセルと結婚。

③結び…本作の見処は？
ドラキュラ映画の代名詞。
超一流の映画監督が魅せる技量だけでも、元がとれる作品。
◎: 原作を尊重し、古典的なホラー形式で制作するため、コッポラ監督はレトロな撮影技法を採用。多重露光によるトランジション、マット画とミニチュアセットの多用、逆回転撮影による不自然さの演出など、撮影後の特殊効果に頼らない、ローテク撮影で、一級の娯楽映画に仕上がっている。
○: 出演陣が大変豪華。とくに『ゴッドファーザー PART III』をドタキャンし、彼のキャリアにも負の影響を与えたウィノナ・ライダーを登用したコッポラの覚悟を讃えたい。
○: とにかくレトロで無気味な作風が恐さを助長させる。
▲: レトロな作品に、新しさの発見はない。

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▪️JP Title :「ドラキュラ（1992）」
Original :「Bram Stoker's Dracula」
▪️First Release Year : 1992
▪️JP Release Date : 1992/12/19
▪️Production Country : アメリカ
🏆Main Awards : 第65回アカデミー賞
衣裳デザイン賞、メイクアップ賞、 音響効果編集賞
▪️Appreciation Record : 2020-748 再鑑賞
🕰Running Time : 128分
▪️Director : フランシス・フォード・コッポラ
▪️Writer : ジェイムズ・V・ハート
▪️MusicD : ヴォイチェフ・キラール
▪️Cast : ゲイリー・オールドマン 、ウィノナ・ライダー 、アンソニー・ホプキンス 、キアヌ・リーヴス
▪️Review
巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督が大きな製作費をかけて、ブラム・ストーカーの原作『吸血鬼ドラキュラ』を忠実に映画化した話題作でした。コッポラの美学や細かな映像描写、そして豪華な出演陣や第65回アカデミー賞で衣裳デザイン賞を受賞した石岡瑛子の衣装など多くの見どころはあるのですが、残念ながら少し中途半端な感の作品になってしまったことは否めないですね。
それは、亡き妻の面影を求めて彷徨うドラキュラと、妻に生き写しの女性との儚い恋の顛末を描くブラム・ストーカーの原作に忠実に、さらにウィノナ・ライダー自らが企画を持ち込んだということもあって、物語はドラキュラとミナを主軸に据えた、恋愛映画を狙ってしまったからだと思われます。結果、ホラーでもなく恋愛映画にもなりきれず中途半端な作品になってしまったのではと思います。
さらに、ゲイリー・オールドマンのドラキュラがどうしても違和感が残りました。ベラ・ルゴシやクリストファー・リーのような冷酷さや怪奇さが全く感じられないのが。。。オールドマン、素晴らしい俳優なだけにミスキャストではないかと残念に思います。

物語は。。。
中世末、東欧の小国の王ドラクルは、キリスト教世界を守るため異教徒と戦い勝利します。だが伯爵戦死のデマを信じた王妃が絶望して自殺。自殺者は天国に受け入れられないと教会に言われ、ドラクルは怒り狂って神を呪う。。。時は移って19世紀末。英国人司法書士ジョナサンが、仕事で東欧のドラキュラ城に逗留します。その不気味な古城で独り暮らす老貴族ドラキュラ伯爵は、ジョナサンの婚約者ミナの写真を見た途端、目の色を変えるのです。。。

『ドラキュラ』の原作がこうだったんだ、と認識できたのは良かったかもですが、コッポラ、ゲイリー・オールドマン 、ウィノナ・ライダー 、アンソニー・ホプキンス 、キアヌ・リーヴス と素晴らしいスタッフ・キャストなのに作品の完成度が残念でたまりません。。。

▪️Overview
1897年に発表された恐怖小説の古典『吸血鬼ドラキュラ』を、原作のイメージに忠実なスタイルで描く。監督・製作は「ゴッドファーザーＰＡＲＴII」のフランシス・フォード・コッポラ、製作はフレッド・フックスとチャールズ・Ｂ・マルヴェヒル、エグゼクティヴ・プロデューサーは「愛は霧のかなたに」の監督マイケル・アプテッドとロバート・オコナー、脚本は「フック」のジェームズ・V・ハート、撮影は「マンボ・キングス　わが心のマリア」のミハエル・バルハウス、音楽は「コルチャック先生」のヴォイチェフ・キラールが担当。（引用:映画. com）

”ゴッドファーザー〟”地獄の黙示録〟の巨匠フランシス・フォード・コッポラ監督作品。

衣裳が素晴らしい！特に女性のドレスが色鮮やかでとても優雅。日本人の石岡瑛子さんが担当していて、アカデミー賞の衣裳デザイン賞を受賞している

ゲイリー・オールドマン演じるドラキュラのメイクも見どころ。なかなかの変容ぶりで、ゲイリー・オールドマンは”ウィンストン・チャーチル〟でもそうだったけど、やはり変幻自在な役者。

キアヌ・リーブス、ウィノナ・ライダーと決して演技派ではない2人だから、情緒感が薄い作品になってしまってるのが残念…
ヘルシング博士を演じるアンソニー・ホプキンスも作品に溶け込んでないような…
世界観もあまり感じず、コッポラ監督はこの作品で何を表現したかったのだろう…

女吸血鬼の描写はとても官能的…よくみると、あのモニカ・ベルッチが！
それだけで満足です…（笑）