ウディ・アレン監督は、この作品で’80年代を締めくくった。
「私の中のもう一人の私 」で、人間の深層心理にまで踏み込んだアレンが、この作品では、ベルイマンのように「神」を問う。
いつものように、アレンはさえない男を演じる。
結婚はしているが、妻との関係は冷め、
惚れた女性は自分と正反対の人間の元へいってしまう。
一方、人生何の不自由もない成功者の眼科医。
浮気相手の女性から、妻に関係をバラし、
さらには基金を横領したことも公にすると脅されることとなる。
困った彼は、重罪をおこしてしまうのだが・・・
と、一見つながりそうもない二人が、
ラストで遭遇する。
そして、お互いに罪の告白をするのだが、
そこには神の不在という重いテーマがのしかかる。
この作品では、誰も裁かれない。
「一生懸命頑張るなんて無意味だ」といういつものアレン節が、
ほかの作品より更にシニカルに見える。
アレン作品にしては、重いほうかな。
このエンディングは、ハッピーエンドなのかもしれない。
メッセージがストレートに伝わってくるので好きな作品です。
好演ぞろいの俳優たちの中で、
アレンが快く思わない映画監督役のアラン・アルダが印象的。
アレンのコメディの中で、一番毒のある作品じゃないかな・・・
と思います。
オススメです。