最近のライフサイクルがサメ映画と「ドラえもん」を交互に見ることなんです。異色の組み合わせですが、これが意外と相性がいいんですよ。
さて、今回は「ドラえもん」映画の記念すべき第一作「ドラえもん のび太の恐竜」を鑑賞しました。MCUで言えば「アイアンマン」、「スター・ウォーズ」で言えば「新たなる希望」といった具合でしょうか。第一作ということで、藤子先生も相当神経を使われたのではないでしょうか。失敗すれば「ドラえもん」映画はシリーズ化されませんからね。
ストーリーは、のび太くんが恐竜の卵の化石を近所で見つけて、それを孵化させ、生まれたフタバスズキリュウのピー助を育てて、白亜紀の世界へ返すというもの。そこでピー助を狙う恐竜ハンターとの戦いが主なストーリーです。フタバスズキリュウをこの作品で初めて知った方も多いのではないでしょうか。私もその一人です。実はフタバスズキリュウは首長竜で恐竜ではないそうですが、そんな細かいことは気にしなくていいでしょう。子供の頃の私は、ただただピー助の可愛さに夢中だったものです。
面白いのは、一説には来日中のスティーブン・スピルバーグがこの作品を観て「E.T.」の構想を思いついたとか。Wikipediaに書いてあったんですが、どこまで本当か分かりません。でも、考えてみれば、可愛い宇宙人(もしくは恐竜)と少年の友情、別れ...なんだか通ずるものがありますよね。真偽はともかく、ちょっとロマンを感じてしまいます。
第一作だけあって、まだ手探り感があります。定番が決まっていない状態というか。コミックの延長線上にある印象も受けます。まさに子供向け映画という感じですね。でも、それがかえって新鮮で魅力的なんです。主題歌も定番の武田鉄矢さんではなく、大山のぶ代さんの歌。ドラえもんの声優さんが歌うという斬新な選択が、作品全体に独特の雰囲気を醸し出しています。
白亜紀に行く時、タイムマシンの空間移動装置が壊れて北米に着いたので、日本までドラえもん一行はタケコプターで移動するんです。ここで大人の私は思わず「どこでもドアを使えばいいのでは?」と突っ込みたくなってしまいました。どうやら原作には書いてあるようで、白亜紀の地図がインプットされていないから使えないのだとか。なるほど、そういう設定だったんですね。このシーンはカットしちゃダメですよ、藤子先生!あと、タイムふろしきを使ってタイムマシンを直せばいいのでは?タイムふろしきは映画の最初に出てくるんですから...って、こんな風に大人の目線で見てはいけませんね。子供の頃の純粋な気持ちを思い出さなくては。
それにしても北米からキャンピングカプセルを使って野宿するのは楽しそうです!タイムマシンで白亜紀に行けるなんて、子供心をくすぐられますよね。キャンプ系のドラえもんグッズ、大人になった今でも欲しくなってしまいます。
最後にドラえもんたちがティラノサウルスに乗ってドルマンスタインたちを追いかけ回すシーン、本気で彼らを殺そうとしているんじゃないでしょうか?だって止まる様子無かったでしょう?サイコドラにちょっとゾクッとしてしまいました。
ただ、大人の目線から一言。のび太くんの生き物に対する姿勢には少し疑問が残ります。育てられないならピー助を孵化させるべきではなかったのでは、と思います。「日本誕生」でもペガとグリとドラコを作っておきながら捨てるし...まあ、こういう見方はよくないのかもしれません(笑)子供向けアニメに大人の倫理観を押し付けるのは野暮というものでしょう。
でも、ピー助との別れのシーンでは泣いてしまいました。子供の頃から何度見ても涙腺崩壊です。私も年を重ねるごとに涙もろくなったものです。時代を超えて色褪せない「ドラえもん」の魅力を、改めて感じさせてくれる作品でした。