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父親たちの星条旗のshunsukehのネタバレレビュー・内容・結末

父親たちの星条旗(2006年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

この映画は、戦場でのおびただしい死を冷徹に描いている。その場にいる誰もが予想し覚悟している死が、突然にやってくる。血は流れ、内臓は飛び出し、胴からは手足どころか首までもがちぎれる。それはベルトコンベアーで運ばれるように、予定されていたものが、ただ、粛々と進められているだけのように見える。こういう状況を往々にして「地獄」と呼ぶが、それは「地獄」というより、死体を使った埋め立て現場のようだった。揚陸艇で運ばれる兵士は土砂だ。
一方で、こんな淡々とした埋め立て作業から虚構の英雄を生み出し、大衆に幻想を抱かせて、経済政策の失敗をごまかし、経済破綻と敗戦の回避しようとする国のリーダーがいる。そして、そのシステムに群がる者たちの欲にまみれた魂胆が渦巻いている。こちらは、経済の穴埋めだ。そして、ここでも、兵士たちは集金マシーンとして消費されてしまう。戦場での出来事も、この更に上位にあるシステムのフローの一場面だとしたら、深い絶望を感じる。
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