shunsukeh

敦煌のshunsukehのネタバレレビュー・内容・結末

敦煌(1988年製作の映画)
2.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公の趙行徳は特に強い信念もなく、成り行きに対応して生きている人に思える。科挙の試験合格への執念もなく、西へ向って旅した動機も薄弱、後先考えずツルピアを助け愛し合うが、自害に追い込まれた彼女の復讐に燃えるわけでもない。仲間の熱意にほだされて仏教経典などの文化財を燃える敦煌から運び出し石窟に隠す。これが映画として魅力的な主人公かどうかは別だが、ごくありがちな生き方である。
ただ、彼のこの流される行き方は、彼の周辺の人たちの価値観とその違いを浮き彫りにしている。朱王礼はツルピアの復讐のため決死の突撃を行う。ツルピアは趙行徳への愛に目覚めそれが叶わないと知るとその邪魔をした李元昊を殺そうとし、最後は自害する。曹延恵は敦煌を意識の中で私物化しそこに君臨することこそ自分と敦煌の存在価値と思っている。尉遅光は金目の物を求めて止まない。敦煌での趙行徳の仲間は曹延恵が集めた経典などに無上の価値を見出し、命がけで火災から守ろうとする。
私はこの映画を観て、このような人の価値観の多様性について、改めて想いを馳せた。
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