『007』10作目
ロジャー・ムーア主演3作目
イギリスとソ連の原子力潜水艦「レンジャー」と「ポチョムキン」が相次いで消息を絶つ。調査を命じられエジプトへ向かったジェームズ・ボンドは、ソ連の諜報機関KGBが同じ目的で送り込んだ女スパイのアニヤ・アマソワ少佐と出会う。2人は協力して事件の真相を追っていき、世界転覆をもくろむ海運王ストロンバーグが事件の黒幕であることを突き止める。核戦争を勃発させ、海の世界を作ろうと企むストロンバークの野望を阻止すべく奮闘する物語。
冒頭の雪山をオリンピック選手の様に颯爽と駆け抜けるボンドのスキーアクションがとてもクール。そこからのパラシュートで始まるオープニングの演出がとても格好良い。
これまで単独で行動していたボンドが、がっっり他国の女性諜報員と組み、行動していくというのがとても新鮮だった。ハニートラップに引っかかりながらも、学習せず突き進んでいくボンドの変わらない女性にだらしない姿は健在で安心した。
今回の敵は、新たな海運都市の建設を目論む頭脳派のストロンバーグと、怪力で鋼鉄の歯を持つ大男の殺し屋ジョーズ。ジョーズはガタイは良いが頭が弱いのでとてもコミカルな脳筋キャラになっている。何度やられようともゾンビの様に立ち向かってくるジョーズの不死身さは本当に恐ろしい。ある意味何度やられようとも立ち上がるから、主人公みたいな気質がある。
ボンドガールは才色兼備で負けず嫌いなロシア人の諜報員“トリプルエックス”。ボンドにも引けを取らない頭脳明晰で、優秀なロシアの諜報員として活躍するのがとても女性ながらに格好良い。自分の愛する人を殺した相手と発展する感覚が独特すぎて凄いなと思ってしまった。どんな女性をも虜にするボンドが凄すぎる。
そして、一番の見所はQのガジェットであるスポーツカー。イギリス製の白色のロータス・エスプリが潜水艦に変形し、水陸両用車として使える万能なボンドカーとてして最大限活躍するシーンは痺れた。後ろにセメントを噴射したり、ミサイルを発射したりと豊富なギミックも豊富なのが良い。極めつけは、ビーチに上陸するシーンは男の憧れのような登場で好み。ヘリからボンドを狙った女性キャラも登場シーンは短いが可愛くて魅力的だった。
過去作の出来事が反映されようやくボンドが結婚した事になっているのがまた良かった。
脱出ポッドで上司に見られながら酒を嗜み、イチャイチャするボンドらしさ全開のラストは秀逸だった。
ムーアボンドの中でも好きな作品。