記録用
ペドロ・アルモドバル監督作品。
昏睡状態の女性を献身的に介護を続ける一人の男性の究極の愛、、かと思いきや真実が少しずつ明るみになると背筋が凍るホラーへと変貌。
主人公の二人の男ペニグノとマルコは二人とも昏睡状態の女性に愛情を注ぎ意気投合する。
まず序盤ではペニグノは医療従事者として患者に対し愛情を持って接しマルコは恋人が昏睡状態なので意識があった時と同様に変わらず愛した。
この段階では一般的に考えられる二組の愛情の種類ではあるがペニグノは実は患者以上の想いを持っており実はかねてからマンションの向かいに住むこの女性に一目惚れしており様々な手を使い接近していく。
女性もペニグノが偶然に見せかけて部屋に侵入するなどの行為に引いていた矢先に昏睡してしまう。
昏睡したことがわかると病院に勤務してその女性の担当にまでたどり着く。
この異常な執念とペニグノの俳優が演じるなんとも言えない狂気性を孕んだ表情も相まって普通に怖い。
しかし今作ではこの執着と奉仕の感情こそが愛であり、何か見返りを求めずむしろ昏睡状態になったからこそ生まれた関係性であり、これもまた一つの愛の形というこだろう。
そしてそれの反対にマルコは元々恋人としての関係があったからこそ目が覚めて見返りを求めてしまったことで破局を迎えてしまう。
そしてペニグノは愛が暴走していき無声映画の内容と呼応するようにある事件を起こしてしまうのだが、、。
ここはその内容を愛として肯定しているかのように捉えらてしまう可能性もあるかなりギリギリの表現でもある。
まぁ病院の名前がスペイン語で「森」で眠り姫の原作は眠って起きない姫を王子が強姦するのでそういう皮肉も込められているのかもしれない。
そしてその後二人の男性は女性への愛情を語り合い意気投合していたが実はそれ以上のホモセクシャルな関係に突入していることが示唆される。
監督は自身が同性愛者で他作品でも同性愛をテーマに語られることも多いが今回も一種のそれに近い愛として描かれている。
このようにこの作品はペドロ・アルモドバルの多様な愛の形を伝え美しくスタイリッシュな映像で構築しホラーのようにも見れる一粒で2度美味しい作品です。