望月三起也の原作は世代的にちょっと上なのか僕は読んだことがないし、70年代にドラマ化されたのもうっすらとしか覚えていない。でもリアルタイム世代には思い入れのあるコミックらしく、僕の周囲では公開前から期待半分怖さ半分。そんな反応だった。
それにこの映画は、わが生息地や九州各地、下関でロケされた映画でもある。僕もエキストラに今回参加したし、見慣れた場所でも撮影が行われたもので、お話もだけど背景がどう写っているのか興味津々。幸いなことに試写会が当選したので公開前に観てきた。
警察組織で解決できない悪に対して、超法規的な存在として解決に乗り出す元犯罪者から選抜されたチームが"ワイルドセブン"。チームのリーダー格である飛葉(瑛太)は、事件の度につきまとう人物の存在に気づく。同じ頃、飛葉は謎めいた女性ユキと知り合うが、彼女にはある秘密があった。そしてワイルドセブンの面々はある事件の濡れ衣を着せられ追われる身に。彼らは事件の黒幕である政府中枢の人物に挑むことになる。
原作に思い入れがある世代にはどうも不評の様子。映画化なんて別物さ、と思ってしまえばいいのかもしれないが。確かにツッコミどころは多々ある。瑛太と深キョンが惹かれ合って…という場面にしても、瑛太が勝手に酔っぱらって彼女の家に転がり込んだだけとしか思えない。この辺の心情がどうも淡々と表現されているから、「守りてぇんだよ!」と叫ぶクライマックスの瑛太にどうも感情移入しずらい。ラストの悪党を追い詰める場面にしても、え?ボタンひとつ押されただけで降参なの?と実にあっけない印象。いちばんかっこいいのはワイルドセブンを率いるボスである中井貴一かも。まぁ、理屈抜きに楽しむにはよい映画だろう。
とはいえ日本映画にしては派手なアクションやドンパチはけっこう頑張っている方だと思える。スプリットスクリーンを使った演出はなかなかかっこいい。バイクアクションがあって、戦争映画でないのにここまで大量の銃器がぶっ放される日本映画はなかなかない。エキストラでご一緒させていただいたスタント担当の方も、バイクアクションがある映画ってなかなかないので参加できて嬉しいとおっしゃっていた。
そしてそんな映像を撮るにあたって、地元がかなり貢献しているのが観ていてよくわかる(無茶もしてるんだろうけれど)。市民の目線から観ると、地元ロケを楽しむ上ではこれ以上ないくらいによく撮られた映画。そしてエンドクレジットでは撮影風景が映し出される。これがいい雰囲気。俳優、スタッフ、エキストラのそれぞれのロケ先での様子が流れて、監督が映画にかかわったすべての人々を大事にしているんだ、と感じられて嬉しい。エキストラで参加させてもらって、あの現場にいたんだと思えるからなおさらだ。映画の現場っていいなぁ、というのが今回の感想。深田恭子をすっごく近くで見られたしっ♡
「携帯で電話しながら街角でコーヒー飲んでる人ということでお願いします」
とオーダーを出されて、交差点に立たされた。もうちょっとカメラ左向いてくれたら、フレームインしておりました。残念。でも、ああやって映画の舞台となる空気の一部になれたのはよい経験でございました。
試写会にて鑑賞。