アーモンドフィッシュ

銀河鉄道999のアーモンドフィッシュのレビュー・感想・評価

銀河鉄道999(1979年製作の映画)
4.2
ゴダイゴの曲はずっと大好きで聴いてたんだけど、実は銀河鉄道999自体は観たことなかったんですよね。それで今回初めて見てみることにしたんです。

思ったより全然シリアスな作品で驚きました。機械伯爵に母を殺された鉄郎が、復讐のために機械の体を求めて旅に出る。でも旅を進めるうちに、機械の体を手に入れることや永遠の命を得ることがどれだけ無意味かに気づいていく。鉄郎の心境の変化がすごくよく描かれてると思います。

印象的だったのは、時間城で鉄郎のお母さんが標本みたいに飾られてるシーンとか、けっこうギョッとする描写ですね。子供向けアニメだと思ってた人はびっくりするかも。それに、鉄郎が出会うキャラクターたちの悲しい過去とか、機械化の代償みたいな重いテーマも印象に残りました。それと、機械伯爵を倒して話が終わるのかと思ったら、まだ40分くらい残ってて「えっ?」って感じだったんですが、ラストは機械惑星での話になるんですね。なるほど。ここでの展開が、物語のテーマをより深く掘り下げていて、単なるSFアドベンチャーを超えた作品だなって感じました。

やっぱり何と言っても素晴らしいのはゴダイゴのテーマ曲ですよ。あれほど作品の世界観にぴったりなメロディはないと思います。途中で999が地球を離れるときに流れた「テイキング・オフ」も、すごく気に入りました。これからApple Musicでよく聴くと思います。

タイタン星のおばあさんの息子は絶対キャプテン・ハーロックだと思ってたんですよね。おばあさんの意味深な言い回しや「戦士の銃」を持ってたことなど、ハーロックを連想させる要素がたくさんあったんです。でも、アニメ版や原作を知ってる人は間違わないみたいですね。

銀河鉄道999の実写化の話ってよく出ますけど、私はメーテルはどんな美人女優がやっても無理だと思うんです。確か山本美月さんとか栗山千明さんがやったことあるんでしたっけ? 彼女たちもすごくいいと思うんですが、アニメでしか出せないあの哀愁漂う感じって、現実では再現できないと思うんですよね。白人の日本語ネイティブのブロンド女優を登用したらどうか?それでも無理。メーテルのあの詩的で謎めいた言い方も、実写だと笑っちゃいそう(笑)要するにコントに見えちゃうんですよ。これはブラック・ジャックにも言えることだと思います。あの独特の雰囲気って、やっぱりアニメだからこそ成立するんですよね。

全体的に見て、SFの設定の中にいろんな深いテーマが織り込まれてる作品だなって感じました。アニメ版や原作との違いも気になるので、機会があればそっちも見てみたいですね。