ヴェンダースの長編デビュー作。ラスト30分くらい寝ちゃったけど見返す気が起きない。
ちょっと面白かったところとして、序盤にこんなのがある。屋内にいる主人公が窓を見ている。そのまま窓の外を映したショットになる。こちらは「主人公の視点ショット」と思って見ていたら、窓の外を主人公が通り過ぎる。
お約束を逆手にとった軽い遊びに過ぎないかもしれないが、とても不思議なことに、窓の外に主人公を認めたとき、「幽体離脱」したような感覚が体内に生まれた。
つまり、自分が主人公の主観だと思い込んでショットを見ていたとき、自分はやっぱり主人公と「同一化」していたのだ。そういうことは、話としては知っている。でも、やはりそこまでの実感は伴っていなかったわけだ。
けれども、自分はちゃんと同一化していたのだ、ちゃんと身体的な次元で。このショットの中で、自分は主人公にいわば裏切られるわけだが、その瞬間の幽体離脱めいた感覚によって、逆説的にそのことに気づかされた。これだけでも収穫だ、ありがとうヴェンダース。