【演劇的な映画】
吉田喜重監督作品。
監督の夫人でもある岡田茉莉子が主演している。孫娘(一色紗英)と暮らす老婦人が、赤ん坊を生んですぐに失踪した娘とおぼしき女(田中好子)が発見されたことをきっかけとして、自分の家族史を振り返っていく過程が描かれている。背景には広島への原爆投下がある。
セリフや進行は映画と言うより演劇的で、暗く沈むような音楽と相俟って独特の効果を上げており、悪くない作品だ。
それと、私はもともと田中好子がキャンディーズ時代から好きだったんだが、これは彼女の代表作になるかも知れない。静かな演技が印象的。脇役の室田日出男もいい味を出している。
(以上は本作がロードショウ上映された2003年に書いたレビューです。田中好子さんはその後お亡くなりになりました。ご冥福をお祈りいたします。)