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遠い雲のkuuのレビュー・感想・評価

遠い雲(1955年製作の映画)
4.0
獅子舞+立ち売り箱+方言+とろろご飯+日傘+喫茶店+笠踊り+うちわ+電話+山車+改札◎



監督:木下惠介
脚本:木下惠介
   松山善三
音楽:木下忠司

幼馴染の男女の秘めた思いを飛騨高山を舞台に描いた作品です✨

蒸気機関車の煙・汽笛・走行音が物語の始まりを告げます。
手を振る子どもたちが昭和らしさ全開で可愛かったです。

オープニングクレジットは当時としては凝った作りなのでしょうが文字が読み難くプチストレスでした。

いきなり立ち売りする美少年に目が釘付けになりました。

飛騨の方言が心地好くて真似したくなりました。

ジャズの催しでクラリネットの演奏を少し聴けて楽しかったです。
短いダンスシーンも時代を感じることができました。

田村高廣が若く軽い感じの演技が初々しかったです。
撮影時の顔が末弟の田村亮にどことなく似ていて驚きました。
感情のコントロールができないお坊ちゃま役が似合っていました。
下手な小細工をせず淡々としていたのが良かったです。
繊細で美しい青年といった印象です。カッコ良かったです。

佐田啓二はとにかく二枚目で華があって素敵でした。
物腰も柔らかく…こんな義弟がいたら心揺れると思います。
一番冷静で愛情深く最後の行動は素晴らしかったです。

高峰秀子は文句なしに美しく可愛らしく理想の女性像でした。
あんな綺麗なお母さんにお洋服を着せてもらってリボンを結んでもらえたら…
そんな妄想を思わずしてしまうほどでした。特に横顔が素晴らしいです。

ストーリーはアンドレ・ジッドの『狭き門』になぞらえて作られています。
『狭き門』は台詞にも出て来る上に実際に本として画面にも現れます。
この作品から男は幼く女は成熟しているかのような印象を受けました。

夜汽車で駆け落ちした若いカップルは映画『卒業』と同じような表情をしていたのが答えだと思いました。
一時的な思いだけでは幸せにはなれない(ことが多い)と思いました。切ないです。

デコちゃんを愛でることができただけで嬉しかったです。その意味も込めてのスコアです💕
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