ハレルヤ

ラブリーボーンのハレルヤのレビュー・感想・評価

ラブリーボーン(2009年製作の映画)
3.8
近所の男に殺害された14歳の少女スージー。天国と現世の狭間で彷徨う彼女は、悲しみに暮れる家族と犯人の行く末を見守るファンタジードラマ。

公開当時から注目していた作品でしたが、評価があまり良くなく、ずっとハズレ作品かと思って避けてきました。でも今となっては主演は順調なキャリアを積んでいるシアーシャ・ローナン。両親にはマーク・ウォールバーグとレイチェル・ワイズ、祖母にはスーザン・サランドンという豪華な面々。そして監督はピーター・ジャクソン。やはり見ておこうと今になってようやく重い腰を上げて鑑賞しました。

個人的にはそんなに悪いか?と思うくらい良い仕上がりという印象。元々ちょっとハードル下げてたというのもありましたが、135分飽きずにしっかりと見れましたね。

この世に未練を残して死んでしまったスージー。自分の死を受け入れられない状態で、悩み苦しむ家族とまた警察の目から逃れようとする犯人。初デートをするつもりだった恋人と彼女自身の目線から様々な人間模様を描きます。

最近の映画で死者からのメッセージ的な作品だと「ブラック・フォン」が連想されますが、あの映画と違いスージーはそれほど現世に関われません。なのでスージーが活躍するという形ではないのが評価の分かれ目の1つかもしれません。

被害者家族の悲痛な現実や、捕まらず悠々と過ごす犯人の様子と、観客側はもどかしい気持ちが大半を占めると思います。苦い気持ちがあってもラストは綺麗な形で締め括れるので後味は爽やかな方。

死後の世界の描写も美しくて、ここはピーター・ジャクソンの腕前が光ったところだと思いますし、スージーの妹が活躍して、証拠を巡っての犯人との攻防戦は緊迫感がある見所。

勧善懲悪を求める人には厳しい作品かと思いますが、心に残る度合いは他のドラマ映画とは一線を画す作品だと個人的には思いましたね。
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