とても不倫の映画とは思えない、繊細で人間の感情の機微がしっかり伝わるデヴィッド・リーンならではの職人芸が発揮された名編となっている。
墨絵のようなモノクロの透き通った画面がヨーロピアン的風情があり、男女のイケナイ関係をドロドロしないで実にあっさりと洗練された語り口で綴っている。このさり気なさはある意味木下恵介的なムードと言えるかも知れない。
どちらかと言うとアンモラルな話を汚くなく、倫理的に描けている面がリーンの視点の鋭さであり古き良き英国のクラシックと言えるかも。精神年齢の高い映画なので逆に若い人は嫌悪感情を持つかもしれないw