2024年最後の1本は名作と名高い『アンダーグラウンド』。170分の大部で途中まで何を観せられているのかよくわからなかったが、後半に進むにつれてようやく分かった。本作は、旧ユーゴスラビアの歴史的変遷を寓話的な物語に仕立てた作品である。
共産主義という「アンダーグラウンド」から抜け出したときに待ち構えていたのは同胞が殺し合う内戦であった。政治的な紆余曲折の中で逞しく生きてきたつもりが、最後は大切なものを全て失っていた。
映画は建築・絵画・彫刻・音楽・舞踏・文学に次ぐ「第七芸術」と呼ばれる。本作はまさにそう呼ばれるのが相応しいような作品で、1995年のカンヌでパルム・ドール賞を受賞している。
しかし、個人的にはストレートな戦争映画の方が好み。メタファーはあくまでメタファーだから。
公開:1995年
監督:エミール・クストリッツァ(1954-)