コーカサス

女は二度生まれるのコーカサスのレビュー・感想・評価

女は二度生まれる(1961年製作の映画)
3.7
靖国神社にほど近い花街で、不見転芸者 (【みずてんげいしゃ】客を選ばず淫売する寝室専門の芸妓) の小えん(若尾)の奔放で憎めない生き方を描いた物語。

大映に移った川島監督が首脳陣に「若尾文子を女にしてみせる」と意気込み挑んだ結果、見事それをやってのけ、翌年の『しとやかな獣』ではさらなる飛躍を遂げている。

タイトルが示すように本作は、小えんがひとりの女性として自我に目覚め、自立していく、いわば成長記と云ってよい。
若尾演じる小えんの様々な顔を持つ女性像も魅力だが、演出面においても切り返しショットを多用した巧みなキャメラワークは差し詰め映画の教科書のよう。

男は男で生まれても、男で死ぬのは難しい。しかし、女は女として、さらに人として二度生まれ、人生最期の時を迎えるまで頑なに女であることを思わせるラストシーンもまた秀逸だ。

35 2024